LNG=11月13~17日:日本の公益企業が転売
DES北東アジア相場は冬場に向けて需要が強まるとの見方を背景に、1月前半着の商談水準は16.80ドル前後に切り上がった。ただ、日本の公益エネルギー企業が1月着の転売に動いており、相場の上げ幅は限られた。買い手や価格など詳細は不明だが、関西電力が、1月着カーゴを1月限の北東アジア着のスポット市況に対してディスカウント圏で販売したようだ。JERAも1月着の販売に関心を示している様子。日本の電力会社はLNG在庫が高く、余剰玉をスポット市場で転売することに活路を見出しているようだ。「今後の日本のスポット需要は寒さしだいだが、現状では厳しくなる感じでもなさそう」(欧トレーダー)。 パナマ運河庁は11月以降、渇水による水位低下を理由に、パナマ運河における1日あたりの通峡隻数を通常の35~37隻から段階的に減らしている。北東アジア向けのLNGの供給にいまのところ目立った影響は見られないが、一部の市場関係者は需給バランスが先行き崩れることを懸念している。長期契約の米国産カーゴをDESベースで引き取っている日本の公益エネルギー企業は「売り手からはいちおう数量を保証されているが、売り手からフォースマジュール(不可抗力条項の適用)を出されたら、どうなるか分からない。自社の需給は現在バランスしているため、売り手がフォースマジュールを出すと、需給がアンバランスになってしまうし、そうなった場合の対策もいまからは始められない」と警戒している。 一方、韓国向けでは新規需要が浮上している。高炉大手POSCOが9日締めの買い付け入札を通じて、2024~2025年渡しの計10カーゴを物色中だ。対象は2024年1~3月、4~6月、7~9月、10~12月着が各2カーゴ、2025年着が2カーゴ。このほか、台湾向けでも1月着の潜在的な需要が見込まれている。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 オマーンプロジェクト(年産1,040万トン)で生産障害が発生していたようだ。国営オマーンLNGは生産障害の具体的な原因について通達していないが、生産設備は早期に復旧し、操業も再開したもよう。このため出荷に大きな影響は出ていないとみられる。インドでは、インド国営ガス公社(GAIL)が2025年着カーゴの調達を再開した。同社は11月29日応札の締め切りで、インド着の買いと米国出しの販売のスワップ入札を開示した。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 今週初めに停電で生産障害が起きた米フリーポートプロジェクト(年産1,500万トン)は、急速に復旧に向かっている。原料ガス供給量は13日に日量約1億立方フィートまで減ったが、足元は日量20億立方フィートと通常の水準まで戻ったようだ。ただ、同プロジェクトが昨年6月に火災事故や、今年9月の生産障害などを経験しているだけに、今後も不安定な生産動向を繰り返すとみる市場関係者もいる。中南米ではドミニカ共和国の輸入量が減少している。
|
|