電力=11月20~24日:東西ともに軟化、気象動向が弱材料に
11月20~24日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東西ともに軟化した。過ごしやすい気温で推移する地域が多かったことや、北日本などを除いて晴れ間の日が続き太陽光発電にも恵まれたため、昼間主導で需給が緩和傾向となった。このため、売りが増加、買いが減少し、価格も下押す動きとなった。なお、東北と東京を結ぶ相馬双葉幹線の作業が続いたため、週半ばまでは北海道と東北の独歩安が続いたが、週後半に作業が終了したことに伴い、東北東京間の市場分断もほぼ解消し、北海道と東北の価格も東京寄りの価格に戻る動きとなった。 東西のメインエリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、20日が3.79円、21日が2.84円、22日が2.36円、23日が1.33円、24日が1.44円の東高西低となった。
燃料相場は、前週末時点からLNGが下落した一方、原油が上昇、石炭は小動きだった。 北東アジア市場のLNGスポットは、週後半時点(11月22日)で期近の24年1月着品がmmBtuあたり16ドル台前半となった。前週末時点(11月17日)の1月着品は16ドル台後半だった。北東アジア向けの売り手が漸増した一方、買い気は限定的だったため、相場も下押した。また、欧州の天然ガス相場が軟調に推移したことも、弱材料となった。経済産業省が22日に公表した、11月19日時点の発電用LNGの在庫が249万トンと、前週の241万トンから8万トン増えた。冬季に向けた在庫積み上げの動きが一段と進んでいる。なお、前年11月末時点が255万トン、過去5年平均が212万トンだった。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、週後半時点で24年1月積みがトンあたり128ドル台後半となった。前週末時点の127ドル台半ばから小幅高となった。材料に乏しく方向感に欠いたが、原油上昇が強材料となったもよう。 原油相場は、24日午前時点でWTIの24年1月物がバレルあたり76ドル台半ば、ブレントの24年1月物が81ドル台半ばで推移している。前週末時点から、WTIが0.5ドル程度、ブレントが1ドル程度それぞれ上昇した。週初めには、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国から構成される「OPECプラス」による追加減産が意識され、相場を押し上げる材料となった。ただ、その後、26日に開催予定だった「OPECプラス」の閣僚級介護が30日に延期され、主要産油国による減産の取り組みで足並みが揃っていないとの見方が広がった。さらに、米エネルギー情報局(EIA)が22日に公表した週間の石油統計で、原油在庫が市場予想を大幅に上回る増加幅となったため、原油先物は売りが先行し、週初めの上げ幅は縮小した。
週を通じた実勢高値は、22日に東京から九州の7エリアで付けた22.29円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、20~22日に北海道、東北、九州の3エリアでそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道と東北が前週比0.98円安の9.21円、東京が同1.46円安の16.27円、中部が同1.01円安の14.77円、北陸が同1.47円安の13.93円、関西と中国が同1.48円安の13.92円、四国が同1.53円安の13.87円、九州が同1.59円安の12.82円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から11.5%増の9億3,939万8,120kWh、買い札が同3.4%減の8億1,022万8,670kWhとなった。約定量の週間平均は、同1.2%増の6億2,107万2,160kWhだった。
11月20~24日の9エリアの電力需要は112億4,227万9,000kWhとなり、前週11月13~17日の115億6,653万8,000kWhから2.8%減少した。なお、曜日を合わせた前年の11月21~25日の需要実績は112億3,953万kWhで、前年並みとなった。
11月20~24日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
11月20~24日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
11月20~24日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
11月第5週の電力スポットは、第4週に比べ上昇するとみられる。週前半は高めの気温が予想されているものの、週半ば以降は気温が低下する見通しで暖房需要が増える見込み。このため、電力スポットも需要増に連動して上昇基調となりそうだ。金曜日からは12月となり、冬の需要期に入るが、足元では供給力が安定的に推移する見通しとなっていることや、相対電源で固定化する向きも散見されるため、大規模な電源脱落などがない限り、電力スポットの過度な上昇はないとの見方が多くなっている。
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