LNG=11月27日~12月1日:トラフィギュラの成約目立つ
DES北東アジアは先週、欧州の天然ガス市況で弱気な見通しが出ていることを背景に、1月前半着の商談水準は15ドル台前半まで切り下がった。引き続きトレーダーやポートフォリオプレーヤーが北東アジア着市場で、1月着のスポット販売に積極的な姿勢を示している。1月前半着では、独RWEと丸紅が北東アジア着のスポット市況、あるいは蘭天然ガス(TTF)市況連動で売り唱えている。このうちRWEは2カーゴの販売が可能のようだ。1月後半着に対しても、欧ビトール、欧グレンコア、三菱商事傘下のダイアモンドガスインターナショナル(DGI)が北東アジア着のスポット市況、あるいはTTF市況連動で売り唱えを提示している。このなか、欧トラフィギュラが11月29日、12月29~31日着を1月限の北東アジア着のスポット市況フラットでJERAのトレーディング子会社JERAGMから購入した。トラフィギュラはこのほか、1月3~4日着、同16~18日着、同29~31日着の3カーゴをいずれも同15セントのディスカウントで中国石油天然気(ペトロチャイナ)から手当てした。これに先立ち11月28~29日、ペトロチャイナは1月上旬着、1月中旬着、1月下旬着の各1カーゴの売唱えをいずれも同10セントのディスカウントで、トラフィギュラは1月前半着と1月後半着の買唱えを、ともに同20セントのディスカウントで提示していた。 韓国ガス公社(KOGAS)に1月着1~2カーゴの購入余地があるようだ。ただ、同社を含めて北東アジアの公益エネルギー企業は冬場の需要動向の見定めに徹しており、このタイミングでの商談入りには慎重だ。北日本の公益エネルギー企業は「降雪も見られ、暖房用のガス需要は伸びてきてはいる。ただ、LNGのスポット購入が必要になるほど、実需が急激に強まっているわけではない」という。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 南アジアでは国営パキスタンLNG(PLL)が11月24日に応札を締め切った買い付け入札で、1月8~9日ポートカシム基地(年間受入能力980万トン)着の1カーゴを購入した。落札者はOQトレーディングで、同社が既報のとおり提示していた応札価格である18.46ドルが最終的な落札価格となった。ただ、同価格は他の需要家の多くにとって割高に映ると指摘されている。中東では国営オマーンLNGがDESベースの販売入札を開示した。対象はオマーンプロジェクト(年産1,040万トン)出しで12月着の計2カーゴ。オマーンLNGがDESベースで12月着を販売するのはこれで計3カーゴ。同社は通常、月に2カーゴ前後をスポット販売することが多い。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 欧州の大半の地域で、足元の気温が低下している。ただ、英国気象庁が11月27日に公表した英国の長期予報によると、寒くなる可能性は残るものの、12月12~26日の気温は平年並みか、平年を上回る見通しだ。温暖な予報が出たことで、市場では「欧州の天然ガス在庫の取り崩しペースが鈍化しかねない」(日本企業)との声が聞かれた。南米チリでは11月後半から日中の最高気温が30度近くに上昇しており、冷房用のガス需要が徐々に強まっている。
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