電力=11月27日~12月1日:東西ともに反発、火力停止や気温低下で
11月27日~12月1日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東西ともに反発した。前週に比べ気温が低めで推移したほか、11月24~27日にかけて東西の火力発電で複数設備が不具合などで停止したため、需給が引き締まり傾向となり、価格も底上げの動きが進んだ。ただ、それでも週を通じた高値は22円台にとどまり、足元の石油火力の発電単価が上限となった。 東西のメインエリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、27日が2.10円、28日が2.48円、29日が0.50円、30日が1.55円、1日が1.34円の東高西低となった。
燃料相場は、前週末時点からLNGが下落した一方、石炭は上昇した。原油は小動きだった。 北東アジア市場のLNGスポットは、週後半時点(11月30日)で期近の24年1月着品がmmBtuあたり15ドル台前半となった。前週末時点(11月24日)の1月着品は16ドル台後半だった。欧州の天然ガス相場が軟調に推移したほか、北東アジア市場では売り物が散見され、相場も下押し傾向が強まった。経済産業省が29日に公表した、11月26日時点の発電用LNGの在庫が233万トンと、前週の249万トンから16万トン減少した。暖房需要が増加傾向となったことを映したが、在庫水準としては潤沢な状況に変わりはない。なお、前年11月末時点が255万トン、過去5年平均が212万トンだった。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、週後半時点で24年1月積みがトンあたり133ドル台半ばとなった。前週末時点の129ドル台半ばから上昇した。 原油相場は、1日午後時点でWTIの24年1月物がバレルあたり75ドル台後半、ブレントの24年2月物が80ドル台後半で推移している。前週末時点から、WTIが0.5ドル程度の下落だったが、ブレントがほぼ同水準だった。週前半は、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国のロシアなどから構成される「OPECプラス」による閣僚級の会合を控え、買い控えの動きが強まり、価格も軟調に推移したが、週後半には米国の金融引き締めが後退する見通しとなり、原油先物も買われる展開となった。30日の「OPECプラス」の会合では、追加減産が打ち出されなかったことで、先行きの供給不安が後退し、原油先物も売り込まれたため、週を通じた変動幅は小動きだった。
週を通じた実勢高値は、27日に全9エリアで付けた22.10円となった。一方、実勢安値は28日に九州で付けた0.01円となった。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比6.85円高の16.06円、東北が同6.87円高の16.08円、東京が同0.38円高の16.65円、中部が同1.45円高の16.22円、北陸が同1.12円高の15.05円、関西と中国が同1.13円高の15.05円、四国が同1.17円高の15.04円、九州が同1.90円高の14.72円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から2.7%減の9億1,392万9,580kWh、買い札が同6.4%増の8億6,169万5,010kWhとなった。約定量の週間平均は、同5.6%増の6億5,600万3,120kWhだった。
11月27日~12月1日の9エリアの電力需要は121億7,276万8,000kWhとなり、前週11月20~24日の112億4,227万9,000kWhから8.3%増加した。なお、曜日を合わせた前年の11月28日~12月2日の需要実績は118億9,376万4,000kWhで、増加率は2.3%となった。
11月27日~12月1日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
11月27日~12月1日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
11月27日~12月1日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
12月第2週の電力スポットは、第1週から大きな変更はないとみられる。天気は、晴れ間と曇天が日によって変わる見通しで太陽光発電はまちまちになりそうだが、気温は比較的高めで推移するとみられ、需要見合いの買いもそこまで強まることはない見込み。さらに、定期点検などで停止していた火力発電も再開し始めており、供給力も厚みが生じるため、価格の上値を抑える材料になるとみられる。ただ、火力発電がさらにトラブルで停止するような事態になれば、需給への懸念も生じるため、価格動向にも大きな影響が出ると見られる。
|