LNG=1月8~12日:値ごろ感で需要刺激も
DES北東アジア相場は先週、期近の2月後半着が一時9.80~10.10ドルと10ドルを割り込んだ。潤沢な供給が相場を押し下げた。2月着は一部の北東アジアの需要家が転売に動くなど、供給に引き締まりが見られない。2月着の余剰玉を抱える売り手が販売を急いでいるようだ。「先安観が強まったことにより、見切り売りが増えている」(日本企業)。英シェルは9日、期近の2月10~12日着を9.60ドルで中国石油天然気(ペトロチャイナ)に販売した。この成約後もJERAと欧ビトールが2月中旬着の売り意欲を示している。3月着は、気温の上昇で暖房用や給湯用のLNG需要が後退し、需給が2月着よりも一段と緩むとの見方が大勢だ。日本の都市ガス会社は「これから急に気温が下がって需要が増加しても、いまから買えるカーゴは早くて3月着。そのころには需要は落ち着く。それに在庫が十分あるので、わざわざスポット玉を買う必要はない」と指摘する。 ただ、「以前に比べてLNG価格が下がったので、値ごろ感から需要が刺激されている」(日本企業)。中国需要家4社が9日に2月着の計6~8カーゴを9ドル台後半~10ドル台前半で、欧ビトールや独RWEから調達したと伝えられている。加えて、2月着1カーゴが今週半ばに9ドル台で韓国需要家向けに販売されたもよう。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 インドの需要が回復している。インド国営石油(IOC)は10日に締め切った買い付け入札で2月下旬エンノール基地(年間受入能力500万トン)着の1カーゴを購入した。中東ではクウェートのアルズール基地(年間受入能力2,200万トン)で9日、今年最初のカーゴが荷揚げされた。クウェートは例年3月には日中の最高気温が30度前後まで上昇するため、クウェート国営石油(KPC)は1~2月から需要増加に備えてLNGの引き取りを増やす。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 欧州連合の気象情報機関コペルニクスが更新した欧州域内の中期気象予測によると、1~2月はスカンジナビア半島など北部で平年より気温が下がるものの、中欧や東欧では降水量が多くなる見通しだ。市場では「スカンジナビアが寒くてもガスの市場自体が小さく、降水量の多さはガス消費には中立。相場の支援材料にはならない」(日本企業)との見方が寄せられた。南米チリでは需要が盛り上がりに欠いている。
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