LNG=3月11~15日:国内需要が低迷
DES北東アジア相場は先週、期近着が一時8.55~8.85ドルで推移した。季節的に気温が上昇傾向にあるため、需要家からの買い意欲が乏しく、上値が抑えられた。 日本の複数の公益エネルギー企業はしばらくスポット購入を予定しておらず、長期契約玉のみで需要を賄えるとみているようだ。日本の都市ガス会社は「昨年の秋からは暖房用のガス需要に加え、産業用のガス需要も低迷している。工場の稼働が低調なうえ、卸電力価格が安いことからコージェネレーション用のガス需要が抑制されている。いつまでこの傾向が続くかは不透明」と需要低迷に苦慮している。また多くの企業が脱炭素化に積極的なことから、エネルギー消費を抑制していることも需要が落ち込んでいる要因だ。 供給も高水準だ。露サハリンスカヤ・エネルギアは5月サハリン2プロジェクト(同1,080万トン)積みの複数カーゴの販売を検討しているようだ。今月中には販売入札を開示するとみられる。同社は2月27日にも4月中旬着と4月下旬着2カーゴが対象の販売入札を締め切るなどスポット販売に積極的。この要因について日本ガス会社は「日本をはじめとした複数の大手需要家が長期契約玉に対してDQT(下方数量弾力性)を行使するケースが散見される。特にサハリンスカヤ・エネルギアに対してDQTを行使したとのうわさを聞くことがあるため、同社は引き取り先のいなくなったカーゴをスポット販売している可能性がある」との見方を寄せている。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 インド国営ペトロネットが運営するインド西部グジャラット州のダへジ基地(年間受入能力1,750万トン)の拡張に動いている。第3桟橋を建設するため、工事の入札を4月中旬締めで実施するほか、受入能力も来年までに追加で500万トン拡張する方針だ。中東ではクウェートのLNG輸入が2024年も前年比で増える見通しだ。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 米国では天然ガス価格の下落を背景に生産者が減産に動いているものの、この生産減による需給への効果が出てくるまでには時間がかかるとの見方が寄せられている。「天然ガス価格が下落している一方、原油相場がバレル当たり80ドル近くの高値圏で推移しているため、原油の生産量は高止まりしている。この原油の生産によって随伴ガスが生産されるため、ガスの需給は引き締まりにくい」(日本企業)。
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