電力=5月6~10日:前週比で東が続伸し西が続落、太陽光や分断動向が影響
5月6~10日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東日本が続伸し西日本が続落した。東西の太陽光発電の動向や市場分断の動向が価格に大きく影響した。晴れ間が広がった西日本では、平日でも日中の複数コマで0.01円を付けた。一方、東日本では関東中心に曇天の日が多くなり、太陽光発電は限定的だった。また、分断動向も大きく影響し、とくに中部関西間の分断コマは、4月29日~5月3日が合計66コマだったのに対し、5月6~10日は同149コマに達したため、北海道~中部の4エリアと北陸~九州の5エリアは価格動向が対照的となった。 東西のメインエリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、6日が3.49円、7日が4.02円、8日が2.00円、9日が5.16円、10日が1.98円の東高西低だった。
燃料相場は、前週比でLNGと原油が小幅高、石炭が下落した。 北東アジア市場のLNGスポットは、5月9日時点で期近の24年6月着品がmmBtuあたり10ドル台前半となり、前週末(5月2日)から0.2ドル程度の上昇となった。スポット供給が潤沢となった一方、高めの気温で買い気は鈍化し、相場も下押す動きとなった。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、5月9日時点で24年5月積みがトンあたり145ドル割れとなった。前週末から2ドル程度の下落となった。 原油相場は、10日午後時点でWTIの24年6月物がバレルあたり79ドル台後半、ブレントの24年7月物が84ドル台半ばで推移した。前週末からいずれも0.5ドル程度の上昇。米国の原油在庫が前週比で市場予想を上回る減少幅となったことや、米国や中国の需要拡大が見込まれたことが強材料となった。
週を通じた実勢高値は、6日に東日本3エリアで付けた20.79円。一方、実勢安値は0.01円となり、7日は北陸から九州の5エリア、8日は九州、9日は北陸~九州の5エリア、10日は全9エリアとシステムプライス(SP)でそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比2.11円高の11.31円、東北が同1.75円高の11.30円、東京が同1.06円高の11.32円、中部が同0.51円高の10.43円、北陸、関西、中国が同1.16円安の7.99円、四国が同1.27円安の7.88円、九州が同1.57円安の7.65円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比4.0%減の10億334万6,470kWh、買い札が同5.2%増の7億9,551万480kWhとなった。約定量の週間平均は同6.3%増の6億2,763万3,680kWhだった。
5月6~10日の9エリアの電力需要は、99億4,227万7,000kWhとなり、前週4月29日~5月3日の88億7,188万5,000kWhから12.1%増加した。なお、曜日を合わせた前年の5月8~12日の需要実績は102億9,045万5,000kWhで、減少率は3.4%となった。
5月6~10日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
5月3~10日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
5月3~10日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
5月第3週の電力スポットも天候に左右される展開が続く見通し。週初めの13日は全国的に雨模様の天気が予想されており、太陽光発電は期待できないものの、14日には西日本で晴れ間が広がり、15日には全国的に快晴の見通しとなっている。このため、潤沢な太陽光発電が昼間価格を圧迫し、平日ながらも0.01円を複数コマで付ける動きになるとみられる。なお、最高気温は週を通じて25度前後の地域が多くなる見通しで、若干暑さを感じる陽気となりそうだが、冷房需要はまだ限定的とみられ、需要見合いによるスポット買いの動きはまだ先となりそうだ。
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