LNG=5月20~24日:5カ月ぶり高値に
DES北東アジア相場は先週、期近着が一時12.05~12.35ドルで推移した。欧州での供給減少懸念に加え、夏場の需要期待で相場は上昇し、期近着として昨年末以来、およそ5カ月ぶりの水準に達した。 北東アジアにおける気温が上昇傾向。今後は、夏場に向けた需要家がスポット購入に動く可能性が指摘されている。日本の気象庁による1カ月予報では、5月18日~6月17日における日本の平均気温は平年よりも高い確率が70%と、発電用のガス需要は底堅く推移することが期待されている。また、気温上昇という要因に加えて、一部では原子力など他の電源の代替としてのLNGのスポット需要が浮上している。東北電力が5月23日の応札締め切りで、買い付け入札を開示した。対象は7月15~22日に新仙台LNG火力発電所(出力104万6,000kW)または新潟火力発電所(同10万9,000kW)に到着する1カーゴ。同社では既報のとおり、女川原子力発電所2号機(同82万5,000kW)の稼働再開が遅れている。 東南アジアでは、タイにおける需要がひき続き旺盛だ。タイでは供給面では国内のガス生産が減退すると同時に、ミャンマーからのパイプラインガスの供給が減少している。さらに需要面では気温の上昇による電力消費量の押し上げによって発電向けのLNGの需要が増加した。これらの状況を背景に、タイは継続的にスポット市場でカーゴを調達。タイ石油公社(PTT)による4月以降の買い付け入札による購入量は合計で13カーゴに達している。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 中東ではクウェート石油公社(KPC)が22日、DESベースで開示していた買い付け入札の応札を締め切った。対象は7月17日~8月31日クウェート着の1カーゴ。インドでは「電力省が補助金を支給し、ガス発電の稼働率を引き上げるよう電力会社に要請している。インド勢による期近着のLNG購入は間違いなく発電需要に対応したもの」(日本企業)との指摘が寄せられた。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 露ガスプロムが2022年に一部企業へのガス供給を停止したことに対する裁判で、ガスプロムへガス代金の支払いを取りやめる判決が出された。これを受け、ガスプロムはオーストリアの資源大手OMVに対して、ウクライナ経由のパイプラインガスの供給を停止するとの方針を示した。詳細は依然不明だが、日本企業は「ウクライナ経由のガス供給は年内で契約が満了するが、予定よりも早く供給が停止すれば相場や需給への影響は避けられない。相場が一段高となる可能性も否定できない」と伝えた。
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