電力=5月20~24日:前週比で東西ともに上昇、太陽光減や燃料高などで
5月20~24日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東西ともに上昇。とくに西日本(60Hz)は、前週に比べて太陽光発電が減少したため、上げ幅も大きくなった。また、週を通じて全国的に高めの気温動向となり、冷房需要も徐々に増え始めてきたとみられ、東京では21日の最大需要が4月5日以来となる3,500万kWを超えた。さらに、足元のガス価格が上昇傾向となっていることも強材料となった。 東西のメインエリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、20日が5.42円、21日が4.63円、22日が2.36円、23日が2.33円、24日が4.62円の東高西低だった。
燃料相場は、前週比でLNGと石炭が上昇し、原油が軟化した。 北東アジア市場のLNGスポットは、5月23日時点で期近の24年7月着品がmmBtuあたり12ドル前後となり、前週末(5月17日)から1ドル超の上昇となった。ノルウェーの供給減少などで欧州の天然ガス相場が年初来の高値となり、北東アジア市場のLNG相場もつれ高となった。また、北東アジアでも豪州の供給トラブルや気温上昇などが強材料となった。経済済産業省が22日に公表した、5月19日時点の発電用LNGの在庫は226万トンとなり、前週から14万トン増となった。前年5月末時点の241万トンは下回ったものの、過去5年平均の211万トンを上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、5月23日時点で24年6月積みがトンあたり141ドル台半ばとなった。前週末から1ドル程度の上昇となった。ガス価格の上昇につれ高となった。 原油相場は、24日午前時点でWTIの24年7月物がバレルあたり76ドル台後半、ブレントの24年7月物が81ドル台半ばで推移した。前週末からいずれも3ドル程度の下落。米国の利下げ開始の時期が後ずれする見通しとなったことや、原油在庫の増加などが弱材料となった。
週を通じた実勢高値は、23日に北海道で付けた21.56円。一方、実勢安値は23日を除く日で付けた0.01円。20日は北陸から九州の5エリア、21日は東京を除く8エリア、22日は北海道と東北、24日は西日本6エリアでそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比0.03円安の11.83円、東北が同0.04円高の11.83円、東京が同1.33円高の13.69円、中部が同1.32円高の10.40円、北陸が同1.80円高の9.82円、関西と中国が同1.82円高の9.82円、四国が同1.75円高の9.50円、九州が同2.28円高の9.63円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比4.3%減の10億5,095万1,440kWh、買い札が同3.0%増の8億6,075万6,070kWhとなった。約定量の週間平均は同2.4%増の6億7,425万560kWhだった。
5月20~24日の9エリアの電力需要は、105億1,892万9,000kWhとなり、前週5月13~17日の103億3,461万3,000kWhから1.8%増加した。なお、曜日を合わせた前年の5月22~26日の需要実績は104億6,242万3,000kWhで、増加率は0.5%となった。
5月20~24日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
5月20~24日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
5月20~24日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
5月最終週の電力スポットは、底堅い値動きとなりそう。週を通じて天気の悪い日が多い見通しのため、太陽光発電は限定的になる見込み。最高気温は、九州から東北南部にかけて連日25度以上の予報となり、蒸し暑い日も多くなるとみられる。さらに、基調を強めるガス価格の動向次第では、第4週を上回る価格になりそうだ。また、21日には沖縄・奄美が梅雨入りしたが、今後梅雨入りする地域も増えるため、電力スポットは夏に向けて底上げ傾向になるとの見方が多くなっている。
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