電力=5月5~9日:電力スポットは前週比で続落、GW後半で需給に緩み
5月5~9日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに前週から続落した。大型連休後半となり電力需要が鈍化したほか、連休明けの7日以降も過ごしやすい気象動向となり、電力スポットは上値の重い展開が続いた。なお、北海道では連休中もインバランス料金で突出した高値を付ける日があり、5日には100円越えの時間帯もあった。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、5日が0.23円、6日が0.06円、7日が0.56円、8日が2.97円、9日が0.62円の東高西低となった。
5月第2週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは上昇。5月8日時点で期近の25年6月着品がmmBtuあたり11ドル台半ばとなり、前週末時点(5月2日)から0.4ドル程度の上昇となった。欧州の天然ガス相場が堅調に推移したことや、韓国の大手需要家による買いの動きが強材料となった。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、5月8日時点の25年5月積みがトンあたり98ドル台半ばとなった。前週末時点から0.5ドル程度の下落。 原油相場は、5月9日午後時点でWTIの25年6月物がバレルあたり60ドル台前半、ブレントの25年7月物が63ドル台前半の水準で推移している。前週末時点(5月2日)から、WTIおよびブレントともに2ドル前後の上昇。直近の相場で大きく下落した反動により、買い戻しが先行したことや、米国の関税政策に対する懸念が和らいだことが強材料となった。8日には、米英両国政府が貿易協定の締結に合意し、米国は英国から輸入される鉄鋼とアルミニウムの関税を撤廃し、英国は米国産農作物などの貿易障壁を削減した。
週を通じた実勢高値は、6日に北海道除く8エリアで付けた18.19円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、5日に全9エリアとシステムプライス(SP)で、6日に北海道で、7日に北海道、東北、四国、九州、SPで、8日に東京と中部を除く7エリアとSPでそれぞれ付けた。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で1.12円安の7.56円、東北が同0.53円安の8.88円、東京が同0.58円安の10.10円、中部が同0.33円安の9.56円、北陸、関西、中国が同0.33円安の9.21円、四国が同0.36円安の8.68円、九州が同0.14円高の8.74円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から4.5%減の10億9,509万1,120kWh、買い札が同2.5%減の8億2,625万4,000kWhとなった。約定量の週間平均は、同0.6%増の6億7,505万1,690kWhだった。
5月5~9日の9エリアの電力需要は、93億3,317万3,000kWhとなり、前週4月28日~5月2日の90億8,690万9,000kWhから2.7%増加した。曜日を合わせた前年の5月6~10日の需要実績は99億4,227万7,000kWhで、減少率は6.1%となった。
5月5~9日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
5月5~9日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
5月第3週の電力スポットは、第2週に比べ高くなるとみられるが、上値は限定的となりそう。ただ、13~14日の最高気温は関東以西で30度に迫る地域も散見されているため、冷房需要が強まる可能性もあり、太陽光の影響が薄まる夕方以降で価格上昇を招く可能性もある。また、天気は週後半に崩れる予報だが、他は晴れ間の広がるため、引き続き太陽光発電が日中価格の上値を抑える材料となりそうだ。価格動向について一部の市場関係者からは、「第3週のベース価格は、東日本で11~12円、西日本で9~10円の水準と予想している」(新電力の市場取引担当者)との見方が示された。
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