電力=5月12~16日:電力スポットは東が反発し西が続落、分断など影響
5月12~16日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週から東日本(50Hz)が反発した一方、西日本(60Hz)が続落した。13日以降、東西で初夏の陽気となり、冷房需要が徐々に入り始めたことで電力需要が増加し、価格動向にも波及した。ただ、西日本では東京中部間の分断が増えたことや、14日までは晴れ間が広がり太陽光も潤沢だったため、前週を下回る価格で推移した。東京中部間の12~16日の分断数をみると、合計195コマで発生し、前週(5月5~9日)の41コマから急増した。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、12日が3.44円、13日が2.64円、14日が5.90円、15日が4.40円、16日が0.36円の東高西低となった。
5月第3週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは軟化。5月15日時点で期近の25年6月着品がmmBtuあたり11ドル台後半となり、前週末時点(5月9日)から0.05ドル程度の小幅下落となった。週を通じて動意薄となったが、欧州の天然ガス相場がまちまちだったことを映した。また、米中の貿易摩擦の緩和が強材料となった一方、北東アジア市場の需給緩和が解消されず弱材料となり、強弱材料が入り混じったことも相場の方向感を欠いた。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、5月15日時点の25年6月積みがトンあたり99ドルと、前週末時点とほぼ同値となった。 原油相場は、5月16日午後時点でWTIの25年6月物がバレルあたり61ドル台後半、ブレントの25年7月物が64ドル台後半の水準で推移している。前週末時点(5月2日)から、WTIおよびブレントともに0.7ドル程度の上昇。週前半は米中の貿易摩擦の緩和が強材料となり、上げ幅を伸ばした。ただ、週後半には米原油在庫の増加や対イラン制裁の緩和観測が弱材料となり、上げ幅は削られた。
週を通じた実勢高値は、14日の東日本3エリアで付けた20.14円となった。高値で20円台を付けたのは4月23日以来。一方、実勢安値は0.01円となり、12日に九州で、13日に全9エリアとシステムプライス(SP)で、14日に西日本6エリアとSPで、15日に北海道と東北でそれぞれ付けた。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で1.03円高の8.59円、東北が同0.69円高の9.57円、東京が同1.24円高の11.34円、中部が同1.33円安の8.23円、北陸、関西、中国が同1.74円安の7.47円、四国が同1.27円安の7.41円、九州が同2.04円安の6.70円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から3.0%増の11億2,816万1,910kWh、買い札が同3.5%増の8億5,537万5,130kWhとなった。約定量の週間平均は、同4.3%増の7億422万5,590kWhだった。
5月12~16日の9エリアの電力需要は、102億3,054万1,000kWhとなり、前週5月5~9日の93億3,317万3,000kWhから9.6%増加した。曜日を合わせた前年の5月13~17日の需要実績は103億3,461万3,000kWhで、減少率は1.0%となった。
5月12~16日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
5月12~16日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
5月第4週の電力スポットは、第3週を上回る水準で推移する可能性が高い。週明け19日は全国的に過ごしやすい気温で推移する見通しだが、20日以降は東北南部から九州にかけて30度に迫る地域が広がるとみられ、冷房需要が強まるとみられる。定期点検などで停止している火力発電が多いなか、スポット調達で需要を補う動きが進むとみられ、価格も底上げの動きになりそう。また、周波数変換設備(FC)など連系線作業も続くことも、価格動向に大きく影響する見込み。来週の価格動向について一部の市場関係者からは、「第4週のベース価格は、東日本で12~13円、西日本で9~10円の水準で推移するとみている」(新電力の市場取引担当者)との見通しが示された。
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