LNG=5月19~23日:週半ばに急騰、地政学的リスクの再燃で
ウクライナ戦争の停戦をめぐる米露の電話会談が不調に終わったため、地政学的リスクの再燃から今週半ばに欧州の天然ガス市況が上昇。これを受けて7月着相場は21日、12.50ドルをわずかに上回る水準まで切り上がった。ウクライナ戦争の停戦交渉が難航しているため、欧州連合(EU)を中心にロシアへの制裁を強化するとの観測が強まっている。英国とEUは20日、ロシア産原油などを違法に輸送している「影の船団」や関連企業などを対象に、追加制裁を実施すると発表した。EUではさらに強力な制裁の準備も進めるなど、ロシアに強固な対決姿勢を示している。またロシア産天然ガスを輸入する中国企業に対しても制裁が課される可能性が浮上しており、中国勢の代替調達に伴う需給引き締まりを不安視する向きもある。ただ中国の華北地域では気温が40度近くまで上がっている場所もあるが、パイプラインガスで需要に対応できているとして、LNGのスポット需要は乏しい様子。日本でも5月上旬が過ごしやすい天候だったことから空調需要が伸びず、ガス消費量が多少計画を下回ったとの声が聞かれる。一方韓国では、韓国南部発電社(KOSPO)が26日応札の締め切りで、DESベースの買い付け入札を開示した。対象は7月4日もしくは同5日に韓国ガス公社(KOGAS)の運営する受入基地に到着する1カーゴ。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 バングラデシュ国営ルパンタリタプラクリティックガス(RPGCL)が18日応札の締め切りで開示していた入札を通して、7月2~3日着1カーゴを買い付けた。落札者は欧ガンボーで、落札価格は12.228ドルだった。一方、モンスーンの時期が目前に迫り、インドの南部では例年より1週間ほど早く大雨が降り始めているもよう。このなか、気温の低下を受けて発電用のガス需要が減少していると日本企業は伝えた。ただ、ニューデリーなど北西部では日中の最高気温が40度を上回る熱波が続いており、「電力向けのガス需要はまだ期待できる」(日本企業)。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 アンゴラLNGが22日応札の締め切り、23日応札価格の有効期限でDESベースの販売入札を開示した。対象はアンゴラプロジェクト(年産520万トン)出しの6月着1カーゴで、アンゴラLNGはX-DF型「Malaga Knutsen」号(容量17万4,000立方メートル)にカーゴを積み込む。仕向け地は南米、欧州、中東、南アジア、東南アジアおよび北東アジア。最も東の供給先は台湾。
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