電力=5月26~30日:電力スポットは前週比で反落、暑さの緩みで
5月26~30日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週から東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに反落。前週に比べて暑さが緩んだため、買い気が後退し、電力スポットも上値が抑えられた。とくに西日本の下げ幅が大きくなったが、市場関係者からは「関西電力の美浜原発3号機(定格出力82万6,000kW)の再稼働が、西日本の価格の上値を抑える材料となった」(新電力の市場取引担当者)との声が聞かれた。美浜3号機は、21日に原子炉を起動し23日から調整運転を開始。30日午前時点でフル稼働に達している。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、26日が5.77円、27日が7.01円、28日が5.15円、29日が3.36円、30日が3.92円の東高西低となり、一段と東西値差が乖離した。
5月最終週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは小幅続伸。5月29日時点で期近の25年6月着品がmmBtuあたり12ドル台半ばの水準となり、前週末時点(5月23日)から0.05ドル程度の小幅高となった。欧州の天然ガス相場の値動きに連動した。北東アジア市場では、需要家の買い気が引き続き鈍く、相場は上値の重い展開が続いている。経済産業省が5月28日に公表した、5月25日時点の発電用LNGの在庫は216万トンとなり、前週から18万トン増えた。前年5月末時点の207万トンを上回ったが、過去5年平均の218万トンを下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、5月29日時点の25年6月積みがトンあたり105ドル台半ばと、前週末時点から0.50ドル程度の上昇となった。豪州では、洪水の影響で石炭の生産が停滞し、相場も強含む展開が続いていたが、週半ば以降は軟調に推移した。 原油相場は、5月30日午前時点でWTIの25年7月物がバレルあたり60ドル台後半、ブレントの25年7月物が64ドル台前半の水準で推移している。前週末時点から、WTIおよびブレントともに0.5ドル程度の下落。石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC産油国で構成される「OPECプラス」が、7月に原油増産に動くとの観測や、中国の原油需要の停滞などが弱材料となった。
週を通じた実勢高値は、29日の東北と東京で付けた18.01円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、26日に東京と中部を除く7エリアで、27日に北海道と中部を除く西日本5エリアで、28日に東京を除く8エリアで、29日に北海道でそれぞれ付けた。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で2.18円安の7.39円、東北が同0.66円安の10.26円、東京が同0.56円安の12.10円、中部が同1.09円安の8.29円、北陸、関西が同1.80円安の7.06円、中国が同1.83円安の7.02円、四国が同1.71円安の6.94円、九州が同1.27円安の6.78円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から2.1%減の10億9,709万7,910kWh、買い札が同5.3%減の8億2,504万2,980kWhとなった。約定量の週間平均は、同4.7%減の6億6,906万6,560kWhだった。
5月26~30日の9エリアの電力需要は、101億4,390万kWhとなり、前週5月19~23日の107億627万kWhから5.3%減少した。曜日を合わせた前年の5月27~31日の需要実績は105億9,366万3,000kWhで、減少率は4.2%となった。
5月26~30日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
5月26~30日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。335件・2,703MWの約定があった。
6月第1週の電力スポットは、5月最終週を上回る水準で推移するとみられる。気温は再び上昇する見通しで、週半ば以降の最高気温は関東から九州にかけて30度前後の見込み。冷房需要が強まるとみられ、価格にも波及するとみられる。6月第1週の価格動向について一部の市場関係者からは、「ベース価格は東京で12~13円、関西で8~9円程度で推移するとみている」(新電力の市場取引担当者)との見方が示された。今後は、太陽光が減少する梅雨入りの時期がいつになるか注視される。
|