電力=6月2~6日:電力スポットは東が続落し西が反発、分断動向が波及
6月2~6日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週から東日本(50Hz)が続落した一方、西日本(60Hz)が反発した。前週に比べ、東京中部間の市場分断が減少したため、東日本は西日本の割安な電気の影響を、西日本は東日本の割高な電気の影響をそれぞれ受け、東西で真逆の値動きとなった。また、西日本では週前半に天気が崩れ、太陽光が限定的だったことも強材料となった。 九州電力は、3月28日から定期点検で停止中の玄海原発3号機(定格出力118万kW、PWR型、佐賀県玄海町)について、原子炉の再起動を延期した。主蒸気系統の検査に使用する弁の1つに不具合が確認されたため、原子炉の再開工程を延期することとなった。同機は当初、6月4日に原子炉を再起動し、6日から調整運転に入る予定となっていた。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、2日が1.49円、3日が0.99円、4日が2.95円、5日が5.12円、6日が3.19円の東高西低となった。
6月第1週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは、前週並みで推移。6月5日時点で期近の25年7月着品がmmBtuあたり12ドル台前半の水準となり、前週末時点(5月30日)とほぼ同水準だった。欧州の天然ガス相場の値動きに連動し、週初めに下げたが、その後じり高となった。経済産業省が6月4日に公表した、6月1日時点の発電用LNGの在庫は226万トンとなり、前週から10万トン増えた。前年6月末時点の213万トン、過去5年平均の210万トンをいずれも上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、6月5日時点の25年6月積みがトンあたり105ドルでとなり、前週末時点から4ドル超の上昇となった。引き続き、豪州で発生した洪水の影響により、生産に影響が出ているもよう。 原油相場は、6月6日午後時点でWTIの25年7月物がバレルあたり63ドル台前半、ブレントの25年8月物が65ドル台前半の水準で推移している。前週末時点から、WTIおよびブレントともに2.5ドル程度の上昇。イランやロシアなどの地政学リスクの高まりや、米中による貿易交渉に進展が見られたことが強材料となった。
週を通じた実勢高値は、3日に東北から関西の5エリアで付けた22.88円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、2日に東北と東京で、4日に東北、中国、四国、九州、システムプライス(SP)で、5日に東京を除く8エリアとSPで、6日に北海道、東北、中国、四国、九州でそれぞれ付けた。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で0.22円安の7.17円、東北が同1.49円安の8.77円、東京が同0.38円安の11.72円、中部が同1.09円高の9.38円、北陸、関西が同1.91円高の8.97円、中国が同0.56円高の7.58円、四国が同0.59円高の7.53円、九州が同0.71円高の7.49円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から7.0%増の11億7,396万1,040kWh、買い札が同5.8%増の8億7,254万7,870kWhとなった。約定量の週間平均は、同7.0%増の7億1,571万5,920kWhだった。
6月2~6日の9エリアの電力需要は、104億8,892万5,000kWhとなり、前週5月26~30日の101億4,390万7,000kWhから3.4%増加した。曜日を合わせた前年の6月3~7日の需要実績は106億386万9,000kWhで、減少率は1.1%となった。
6月2~6日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
6月2~6日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
6月第2週の電力スポットは、第1週を上回る水準で推移するとみられる。週を通じて雨模様の天気が予想されており、太陽光発電が見込まれないため、昼主導で底上げの動きとなりそう。気温は、関東以西で週半ば以降より30度前後で推移する見通しのため、蒸し暑さから冷房需要も増えそうだ。6月第2週の価格動向について一部の市場関係者は、「ベース価格は東京で13円台、関西で11~12円で推移するとみている。太陽光の減少から東西値差は縮小するだろう」(新電力の市場取引担当者)と述べた。来週にも梅雨入りする地域が増える可能性もある。
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