電力=6月9~13日:電力スポットは上昇、梅雨入りで太陽光減少
6月9~13日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週から東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに上昇。全国的に本格的な梅雨入りとなり、太陽光発電が前週から減少しため、昼間主導で底上げの動きが強まった。とくに太陽光発電比率が高い西日本では、太陽光減の反動も大きくなり、東日本よりも上げ幅が大きくなった。ただ、前週に比べ暑さは和らいだため、上値は抑えられた。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、9日が2.10円、10日が1.33円、11日が1.29円、12日が3.50円、13日が3.27円の東高西低となった。
6月第2週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは、前週から小動きだった。6月12日時点で期近の25年7月着品がmmBtuあたり12ドル台前半となり、前週末時点(6月6日)とほぼ同水準だった。引き続き、欧州の天然ガス相場の値動きに連動する格好となった。経済産業省が6月11日に公表した、6月8日時点の発電用LNGの在庫は234万トンとなり、前週から9万トン増えた。前年6月末時点の213万トン、過去5年平均の210万トンをいずれも上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、6月12日時点の25年6月積みがトンあたり104ドル台後半となり、前週末時点とほぼ同水準だった。 原油相場は、6月13日午前10時時点でWTIの25年7月物がバレルあたり73ドル台半ば、ブレントの25年8月物が74ドル台後半の水準に急伸。前週末時点から、WTIおよびブレントともに9ドル程度の大幅上昇となった。イスラエルが13日、イランに先制攻撃を加えたと発表したことを受け、原油先物市場では同日の時間外取引で買いが膨らんだ。
週を通じた実勢高値は、10日に東北と東京で付けた17.01円となった。一方、実勢安値は9日と12日に北海道と東北で付けた0.01円だった。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で1.87円高の9.04円、東北が同1.35円高の10.12円、東京が同0.53円高の12.25円、中部が同0.76円高の10.14円、北陸、関西が同0.98円高の9.95円、中国が同2.29円高の9.87円、四国が同1.40円高の8.93円、九州が同2.48円高の9.97円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から9.6%減の10億6,071万3,060kWh、買い札が同1.0%増の8億8,096万kWhとなった。約定量の週間平均は、同2.0%減の7億159万4,180kWhだった。
6月9~13日の9エリアの電力需要は、108億3,387万7,000kWhとなり、前週6月2~6日の104億8,892万5,000kWhから3.3%増加した。曜日を合わせた前年の6月10~14日の需要実績は114億1,707万7,000kWhで、減少率は5.1%となった。
6月9~13日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
6月9~13日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。413件・3,553MWの約定があった。
6月第3週の電力スポットは、価格上昇に対する警戒が強まっている。電力先物市場では、東西で16日の週をヘッジする動きが強まった。比較的過ごしやすい気温で推移した第2週に比べ、第3週は大幅に気温が上昇する予報。東北から九州にかけて連日30度を超える見通しで、東北南部から東海地域では35度を超える日も多くなる見込み。点検などで停止する火力発電がまだ多いなかで、冷房需要の稼働が大幅に高まるとみられる。このため、電力の予備力が大きく低下し、市場への売り投入が減少、対照的に買い気は強まり、価格も一段高になる見通しだ。一部の市場関係者からは、「東西ともに高値で20円は優に超えるとみており、ベース価格は東京で15円程度までの上昇はあるかもしれない。関西でも12~13円くらいまでは付けるのでは」(新電力の市場取引担当者)との見通しも聞かれる。
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