6月16～20日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週から東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに大幅続伸。全国的に厳しい暑さとなり、関東から九州にかけて35度前後の猛暑となった地域も散見された。このため、前週から冷房需要の稼働が大幅に高まり、東京の最大需要は5,000万kWに迫る日もあった。点検などで停止する火力発電がまだ多い中での需要増加となったため、電力スポットの買い気も強まり、高値は東日本で28円台、西日本で30円台を付けるなど価格の上げ幅が大きくなった。時間帯別でみると、日中時間帯(8～16時)と夜間時間帯は東高西低で、夕方以降の時間帯(16～22時)は西高東低で推移する日が多くなり、太陽光発電や原発など東西の電源構成を映す値動きとなった。

　東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、16日が3.64円、17日が1.84円、18日が0.87円、19日が0.82円、20日が1.42円の東高西低となった。

　6月第3週の燃料相場は下記のとおり。

　北東アジア市場のLNGスポットは上昇。6月19日時点で期近の25年8月着品がmmBtuあたり13ドル台半ばとなり、前週末時点(6月13日)から1.5ドル近い上昇となった。中東の地政学リスクの高まりを受け、欧州の天然ガス相場が一段高となり、北東アジア市場のLNG相場もつれ高となった。経済産業省が6月18日に公表した、6月15日時点の発電用LNGの在庫は214万トンとなり、前週から20万トン減少した。前年6月末時点の213万トン、過去5年平均の210万トンをいずれも上回った。

　豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、6月19日時点の25年6月積みがトンあたり107ドルとなり、前週末時点から1.5ドルの上昇となった。原油やLNG高に連動した。

　原油相場は、6月20日午後3時時点でWTIの25年8月物がバレルあたり73ドル台後半、ブレントの25年8月物が76ドル台後半の水準で推移。前週末時点から、WTIおよびブレントともに2.5ドル程度の上昇となった。前週に続き、イスラエルとイランによる軍事衝突に伴う中東の地政学リスクが強材料となった。足元では、米国の参戦も懸念されており、原油相場が一段高となる警戒も強まっている。

　週を通じた実勢高値は、19日と20日に西日本で付けた30.56円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、16日、19日および20日に中国、四国、九州でそれぞれ付けた。

　エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で2.18円高の11.22円、東北が同1.90円高の12.02円、東京が同2.78円高の15.03円、中部が同4.03円高の14.17円、北陸、関西が同3.79円高の13.74円、中国が同0.81円高の10.68円、四国が同1.75円高の10.68円、九州が同0.71円高の10.68円だった。

　売買入札量の週間平均は、売り札が前週から7.9％増の11億4,484万9,480kWh、買い札が同16.8％増の10億2,857万5,940kWhとなった。約定量の週間平均は、同14.7％増の8億438万9,500kWhだった。

　6月16～20日の9エリアの電力需要は、129億216万6,000kWhとなり、前週6月9～13日の108億3,387万7,000kWhから19.1％増加した。曜日を合わせた前年の6月17～21日の需要実績は113億4,478万6,000kWhで、増加率は13.7%となった。

　6月16～20日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。

　6月16～20日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。

　6月第4週の電力スポットは、第3週に比べ軟化するとみられる。東北南部から九州にかけて、週を通じて最高気温は30度前後と予想され、猛暑の地域もあった第3週からは暑さが和らぐ見込み。また、天気は雲の多い日が続くとみられ、太陽光発電の減少は強材料になるとみられるが、日照に伴う暑さは緩むため、冷房需要の稼働も第3週に比べると低下するとみられる。さらに、点検などで停止している火力発電の再開が一段と増えることも、価格上昇を抑える材料となりそう。一部の市場関係者からは、「暑さが緩むことで価格の上値も抑えられるとみられるが、一般家庭でも冷房を使い始めたところが多いため、一度使い始めると簡単に需要は落ちない。暑さが緩むとはいえ、30度前後の気温は続くため、東京でも平日の最大需要は4,000万kWを割り込むことはないのでは」(新電力の需給担当者)と指摘。続けて、「こうした気象動向を考慮すると、東西ともに高値で20円超えは続くとみられ、ベース価格は東京で15円前後、関西で13～14円程度と予想している」(同)との見方を示した。