電力=6月30日~7月4日:電力スポットは東が小幅続伸、西は前週並みに
6月30日~7月4日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週から東日本(50Hz)が小幅続伸した一方、西日本(60Hz)がほぼ前週並みだった。本格的な夏の需要期に入り、関東以西で連日30度以上の真夏日となった。関東内陸部や東海、近畿など35度を超える地域もあり、冷房需要が一段と強まった。東京エリアでは、最大需要が1日に5,064万KWに達し、昨年9月以来となる5,000万kW超えとなった。連日の厳しい暑さにより、電力スポット市場での買い気は強まったものの、潤沢な売りも投入され、価格は前週から大きな変化はなかった。なお、関西や北海道では需給状況の厳しい日もあり、1日は関西で、2日は北海道でそれぞれ他エリアからの融通を受けた。また、西日本では連日、関西中国間の日中時間帯中心に断続的な市場分断が発生したため、中部、北陸、関西の3エリアが割高に、中国、四国、九州の3エリアが割安となり、最大3円以上の値差が生じる日もあった。とくに、後者の3エリアは太陽光発電比率が高いため、晴れた日は値差が拡大する傾向がみられている。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、30日が2.68円、1日が2.73円、2日が0.64円、3日が0.42円、4日が0.69円の東高西低だった。
7月第1週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは続落。7月3日時点で期近の25年8月着品がmmBtuあたり12ドル台前半となり、前週末時点(6月27日)から0.4ドル近い下落となった。中東情勢の緊張緩和で欧州の天然ガス相場が軟化したほか、北東アジア市場では引き続き買い気が鈍く、相場は一段安となった。経済産業省が7月2日に公表した、6月29日時点の発電用LNGの在庫は215万トンとなり、前週から12万トン減少した。ただ、前年6月末時点の213万トン、過去5年平均の210万トンをいずれも上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、7月3日時点の25年7月積みがトンあたり111ドル台前半となり、前週末時点から4.5ドル以上の上昇となった。欧州やアジアなどで厳しい暑さが続き、電力需要が増えているため、石炭火力の稼働も高まっているとみられ、価格もこれに連動したもよう。 原油相場は、7月3日午前9時時点でWTIの25年8月物がバレルあたり67ドル台前半、ブレントの25年9月物が68ドル台後半の水準で推移。前週末時点から、WTIが1.5ドル程度、ブレントが2ドル程度それぞれ上昇した。中国の景気回復期待や、イランの核開発問題など中東情勢の地政学リスが再び高まる見通しとなり、原油先物は買いが先行した。ただ、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国で構成される「OPECプラス」が8月に追加増産するとの見方が強まったため、原油先物の上値は抑えられた。
週を通じた実勢高値は、1日に北海道、東北、東京、中部の4エリアで付けた30.00円となった。一方、実勢安値は6月30日に四国で付けた0.02円だった。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で2.44円高の13.95円、東北が同0.11円安の14.57円、東京が同0.29円高の15.79円、中部が同0.31円高の15.38円、北陸、関西が同0.61円安の14.35円、中国が同0.26円高の12.56円、四国が同0.16円高の12.46円、九州が同0.35円高の12.52円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から5.9%増の11億7,763万8,130kWh、買い札が同6.6%増の10億7,909万5,260kWhとなった。約定量の週間平均は、同8.7%増の8億5,122万5,910kWhだった。
6月30日~7月4日の9エリアの電力需要は、138億8,309万5,000kWhとなり、前週6月23~27日の126億544万3,000kWhから10.1%増加した。曜日を合わせた前年の7月1~5日の需要実績は130億4,565万4,000kWhで、増加率は6.4%となった。
6月30日~7月4日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
6月30日~7月4日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
7月第2週の電力スポットは、第1週を上回る価格水準となりそうだ。関東以西では、最高気温が連日35度超で推移する地域が多くなる見通しで、スポット市場では需要見合いの買いが一段と強まる見込み。ただ、週半ば以降より、定期点検などで停止している火力発電の再開が増え始めるため、供給力に厚みが生じることで過度な価格上昇を抑える材料となりそう。さらに、週を通じて太陽光発電にも恵まれる見通しとなっていることも、昼間価格の上値を抑制するとみられる。一部の市場関係者は、「厳しい暑さが続くため、インバランスを警戒した買いの動きも増え始めるとみられる。このため、買い手の中には買い落としのないよう足元の価格水準を上回る価格で入札する向きも出てくるのでないか」(新電力の需給担当者)と指摘。続けて、「東京は第1週のベース価格を1~2円上回る水準になるとみており、17~18円程度で推移するのでは。需給動向が厳しい関西も、ベース価格は16円以上に上昇するとみている」(同)との見方を示した。
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