電力=7月7~11日:電力スポットは西が続伸、東は週末に急落
7月7~11日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週から東日本(50Hz)が小反落となった一方、西日本(60Hz)が上昇した。全国的に連日で厳しい暑さとなり、高水準の冷房需要が価格にも波及した。さらに、週を通じて不安定な天気が続いため、太陽光発電が抑制傾向となったことや、大雨の影響で水力発電の運用を停止する動きも散見され、相場の強材料となった。ただし、東日本では11日に気温が急低下し、冷房需要も落ち着いたため、11日の価格が大幅に下落し、週間平均価格も前週を下回った。11日の東京は、最高気温が25度程度と、猛暑だった10日から10度程度の大幅な低下となった。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、7日が0.50円、8日が0.36円の東高西低となり、9日が1.14円、10日が0.11円、11日が0.44円の西高東低だった。
7月第2週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは反発。7月10日時点で期近の25年8月着品がmmBtuあたり12ドル台半ばとなり、前週末時点(7月4日)から0.2ドル程度上回った。週を通じて材料に乏しくなったが、欧州の天然ガス相場が強含んだことを映し、北東アジア市場のLNG相場も連動した。経済産業省が7月9日に公表した、7月6日時点の発電用LNGの在庫は200万トンとなり、前週から15万トン減少した。前年7月末時点の194万トンを上回ったが、過去5年平均の215万トンも上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、7月10日時点の25年7月積みがトンあたり111ドルとなり、前週末時点から1ドル超の上昇となった。ガス価格の上昇に連動した。 原油相場は、7月10日午前11時時点でWTIの25年8月物がバレルあたり67ドル超、ブレントの25年9月物が69ドル超の水準で推移。前週末時点から、WTIが0.5ドル程度、ブレントが0.7ドル程度のそれぞれ上昇となった。夏場の需要増加観測や中東の地政学リスクが強材料となった。イスラエル軍は7日、イエメンの親イラン武装組織フーシが支配する複数の港を空爆した。6日に紅海を航行中の船舶がフーシによる攻撃を受けて沈没しており、その報復措置とみられている。
週を通じた実勢高値は、8日に北海道から関西の6エリアで、9日に北陸と関西でそれぞれ付けた35.25円となった。一方、実勢安値は8日に北海道と東北で付けた6.50円だった。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で0.07円安の13.88円、東北が同0.60円安の13.97円、東京が同0.12円安の15.67円、中部が同0.46円高の15.84円、北陸、関西が同1.49円高の15.84円、中国が同1.47円高の14.03円、四国が同1.27円高の13.73円、九州が同1.36円高の13.88円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から3.8%増の12億2,194万8,130kWh、買い札が同6.2%増の11億4,558万7,160kWhとなった。約定量の週間平均は、同5.0%増の8億9,382万9,110kWhだった。
7月7~11日の9エリアの電力需要は、142億2,174万8,000kWhとなり、前週6月30日~7月4日の138億8,309万5,000kWhから2.4%増加した。曜日を合わせた前年の7月8~12日の需要実績は134億496万5,000kWhで、増加率は6.1%となった。
7月7~11日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。27件・4,879枚(487.9MW)の約定があった。
7月7~11日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。372件・2,607MWの約定があった。
7月第3週の電力スポットは、第2週を下回る価格水準となりそう。第2週に比べて暑さが緩む見通しのため、買い気も低下し、価格の上値は抑えられるとみられる。さらに、週後半には定期明けの火力発電も増えるため、供給力の増加が弱材料となりそうだ。一部の市場関係者は来週の価格動向について、「これまで猛暑を材料に上昇していた分、暑さの緩みは下げ材料となるだろう。東京は第3週のベース価格が15円に満たないとみている。関西も東京と同水準か若干割安な水準になるとみている」(同)との見方を示した。
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