電力=7月14~18日:電力スポットは東西で下落、暑さの緩みで
7月14~18日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週から東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに下落。前週に比べて暑さが和らいだため、冷房需要が低下し予備力が増えたことで、市場への売り投入が厚みを増し、価格を圧迫した。なお、西日本では線状降水帯の地域が散見されるなど大雨の影響で揚水発電の稼働を停止する動きもあったが、価格への影響はみられなかった。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、14日が0.24円、16日が0.75円、17日が1.02円、18日が0.75円の東高西低となり、15日が0.87円の西高東低だった。
7月第3週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは反落。7月17日時点で期近の25年9月着品がmmBtuあたり12ドル台半ばとなり、前週末時点(7月11日)から0.4ドル程度下回った。欧州の天然ガス相場が軟調に推移したことを映し、北東アジア市場のLNG相場もつれ安となった。ただ、北東アジアでは厳しい暑さが続いているため、発電用のガス需要が増加しており、相場の先高見通しも出始めているようだ。経済産業省が7月16日に公表した、7月13日時点の発電用LNGの在庫は188万トンとなり、前週から1万トン減少した。今年に入って最も少ない在庫量となった。前年7月末時点の194万トン、過去5年平均の215万トンをいずれも下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、7月17日時点の25年7月積みがトンあたり111ドル台半ばとなり、前週末時点から0.5ドル程度の下落となった。ガス価格の下落に連動した。 原油相場は、7月18日午前8時時点でWTIの25年8月物がバレルあたり67ドル台半ば、ブレントの25年9月物が69ドル台半ばの水準で推移。前週末時点から、WTIおよびブレントともに1ドル程度の下落となった。米国によるロシア制裁の懸念が後退したことや、ドル高で推移したこと、米国の石油製品の在庫が増えるなど、週を通じて弱材料が多くなり、原油先物は売りが先行した。
週を通じた実勢高値は、15日に中部、北陸、関西の西日本3エリアで付けた31.50円となった。一方、実勢安値は15日に四国で付けた0.01円だった。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で0.69円安の13.19円、東北が同0.81円安の13.16円、東京が同2.42円安の13.25円、中部が同2.58円安の13.26円、北陸、関西が同2.97円安の12.87円、中国が同2.91円安の11.12円、四国が同5.55円安の8.18円、九州が同3.42円安の10.46円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から6.9%増の13億651万6,510kWh、買い札が同4.6%減の10億9,315万8,380kWhとなった。約定量の週間平均は、同2.6%減の8億7,036万9,760kWhだった。
7月14~18日の9エリアの電力需要は、132億3,850万6,000kWhとなり、前週7月7~11日の142億2,174万8,000kWhから6.9%減少した。曜日を合わせた前年の7月15~19日の需要実績は128億4,786万kWhで、増加率は3.0%となった。
7月14~18日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
7月14~18日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。321件・2,443MWの約定があった。
7月第4週の電力スポットは、第3週を上回る価格水準となりそうだ。第4週の最高気温は、関東以西で連日35度を超える地域が多くなる見通しで、冷房需要の強まりが価格にも波及するとみられる。ただ、定検明けの火力発電が増えるほか、太陽光の発電量も第3週より増える天気が予想されているため、予備力に厚みが生じ、過度な価格上昇を予想する声は限定的。一部の市場関係者は第4週の価格動向について、「猛暑の地域が多くなるため、価格は上昇傾向になると思うが、これまでの猛暑日に付けた価格と同様に、過度な価格上昇は想定していない。7月上旬に付けた35円台の高値を大きく超えるような動きにはならないだろう。東京は第4週のベース価格が15~16円、関西も東京と同水準か0.5円程度割安な水準で推移するのではないか」(同)との見方を示した。
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