電力=7月28日~8月1日:電力スポットは前週比で続伸、連日の暑さが強材料に
7月28日~8月1日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週から東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに続伸。前週に続き、全国的に連日厳しい暑さが続き、価格も一段高となった。とくに西日本では広い地域で35度を超える日が多くなり、30日には兵庫県丹波市で国内観測史上最高となる41.2度を記録した。西日本の厳しい暑さを受け、電力スポットも西高東低で推移する日が多くなった。 30日には、ロシアのカムチャッカ半島沖合を震源とするマグニチュード8.8の巨大地震が発生した影響で、日本全土の太平洋側で津波警報および津波注意報が発令された。このため、海岸沿いに立地する火力発電で稼働を停止する設備が散見されたほか、出力を抑制する動きもみられた。ただ、需給への影響は限定的で、電力価格への影響もみられなかった。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、28日が0.88円の東高西低となり、29日が0.77円、30日が1.50円、31日が0.04円、1日が0.87円の西高東低だった。
7月最終週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは反発。7月31日時点で期近の25年9月着品がmmBtuあたり12ドル台前半となり、前週末時点(7月25日)から0.4ドル程度上回った。欧州の天然ガス相場が週を通じて上昇したことを映し、北東アジア市場のLNG相場もつれ高となった。ただ、北東アジアの需要家による買い気は引き続き低調で、とくに中国の買い気が弱いため、相場の上げ幅は抑えられた。経済産業省が7月30日に公表した、7月27日時点の発電用LNGの在庫は179万トンとなり、前週から13万トン減少した。前年7月末時点の194万トン、過去5年平均の215万トンをいずれも下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、7月31日時点の25年8月積みがトンあたり115ドル台前半となり、前週末時点から1.5ドル程度の上昇となった。ガス価格の上昇に連動した。 原油相場は、8月1日午前10時時点でWTIの25年9月物がバレルあたり69ドル台前半、ブレントの25年9月物が72ドル台半ばの水準で推移。WTIおよびブレントともに前週末時点から4ドル超の上昇となった。米国のロシアに対する制裁強化の動きや、米国と中国の関税交渉に進展がみられたことなどが強材料となった。
週を通じた実勢高値は、28日に北海道で付けた50.00円となった。今年の最高値となり、昨年12月13日に中部で付けた80.00円以来の高値となる。一方、実勢安値は28~29日に四国で付けた0.02円だった。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で4.18円高の15.80円、東北が同0.88円高の13.71円、東京が同0.72円高の14.70円、中部が同2.11円高の15.66円、北陸、関西が同2.34円高の15.19円、中国が同0.36円高の11.74円、四国が同1.25円高の8.04円、九州が同1.01円高の11.67円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から1.7%増の13億4,198万680kWh、買い札が同5.0%増の11億8,779万5,110kWhとなった。約定量の週間平均は、同2.2%増の9億2,416万2,010kWhだった。
7月28日~8月1日の9エリアの電力需要は、144億1,223万kWhとなり、前週7月21~25日の143億6,022万2,000kWhから0.4%増加した。曜日を合わせた前年の7月29日~8月2日の需要実績は147億8,918万9,000kWhで、減少率は2.5%となった。
7月28日~8月1日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
7月28日~8月1日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。336件・3,244MWの約定があった。
8月第2週の電力スポットも強基調で推移しそうだ。東北南部から九州にかけて、35度以上の猛暑日になる日が多い見通しで、価格も底堅い動きになるとみられる。とくに西日本では、関西や中部で8月1日に40円超の高値を付けたこともあり、「買い手はインバランス料金を避けるため、買い落としのないよう調達価格の水準を切り上げる可能性があり、直近の高値を上回る水準で入札するプレーヤーもいると思う」(新電力の需給担当者)との声もあった。市場関係者からは、「8月第2週の価格は、東京のベース価格が15円以上で推移するとみており、とくに週半ばには関東でも最高気温が40度近い予報もでているため、17~18円まで上昇する可能性もありそう。関西は引き続き、東京を1円程度上回るかもしれない」(新電力の市場取引担当者)との見方が示された。
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