電力=8月4~8日:電力スポットは続伸、記録的な暑さが強材料に
8月4~8月7日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週から東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに続伸。8月に入り、全国的に記録的な厳しい暑さが続いたことで、価格も一段高となった。 とくに5日は関東地方で40度超の地域が広がり、群馬県伊勢崎市では国内観測史上最高となる41.8度を記録するなど、全国14の観測地点で40度以上に達した。こうした厳しい暑さを映し、5日の電力需要は、沖縄を除く全国合計の日量が今年2月以来となる30億kWh超に達した。前日の4日時点から厳しい暑さが予想されていたため、5日受け渡しの電力スポットは北海道から関西の6エリアで高値が40.01円となり、東京エリアではこの日の24時間平均が19.01円となった。ただ、「記録的な暑さの割に上値は抑えられた」(複数の市場関係者)との声が多く聞かれた。 この週の売買入札は、買い超の日が続いたものの、売り札は12億kWhを割ることなく、買い札との極端な乖離もなかった。火力発電などの目立ったトラブルもなく、供給力が安定的だったことや、「買い手も相対電源で固めている向きが多く、厳しい暑さが続いたなかでも高値買いのような動きにならなかった」(新電力の市場取引担当者)との指摘もあった。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、4日が1.00円、5日が1.02円、6日が1.11円、7日が0.44円、8日が0.40円の西高東低だった。
8月第2週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは反落。8月7日時点で期近の25年9月着品がmmBtuあたり11ドル台後半となり、前週末時点(8月1日)から0.3ドル程度下回った。欧州の天然ガス相場が軟調うだったことや、米国とインドによる関税の応酬などが経済に悪影響との見方が強まり、相場にも影響した。経済産業省が8月6日に公表した、8月3日時点の発電用LNGの在庫は192万トンとなり、前週から13万トン増えた。ただ、前年7月末時点の194万トン、過去5年平均の215万トンをいずれも下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、8月7日時点の25年8月積みがトンあたり113ドル台後半となり、前週末時点から1ドル超の下落となった。ガス価格の下落を映した。 原油相場は、8月8日午前8時時点でWTIの25年9月物がバレルあたり63ドル台後半、ブレントの25年10月物が66ドル台半ばの水準で推移。WTIおよびブレントともに前週末時点から3.5ドル前後の下落となった。石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成される「OPECプラス」のうち、サウジアラビアなど有志8カ国は3日、9月に日量54万7,000バレルの追加増産を実施する方針を決定したことで、先行きの供給過多が意識された。さらに、米国とロシアの間でのウクライナにおける停戦協議について進展があったことも、原油供給に対する懸念が後退した。
週を通じた実勢高値は、5日に北海道から関西の6エリアで付けた40.01円となった。一方、実勢安値は4日に四国で付けた0.01円だった。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で0.18円安の15.62円、東北が同1.73円高の15.44円、東京が同1.64円高の16.34円、中部が同0.31円高の15.97円、北陸、関西が同0.35円高の15.54円、中国が同1.62円高の13.36円、四国が同1.46円高の9.50円、九州が同1.62円高の13.29円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から7.2%減の12億4,473万5,530kWhに減少した一方、買い札が同5.5%増の12億5,363万8,660kWhに達し、買い超となった。約定量の週間平均は、同0.4%増の9億2,800万4,440kWhだった。買い札が増えた割に約定量は微増にとどまり、これは価格上昇で調達できなかったケースが多かった影響とみられる。
8月4~8日の9エリアの電力需要は、146億26万5,000kWhとなり、前週7月28日~8月1日の144億1,223万kWhから1.3%増加した。曜日を合わせた前年の8月5~9日の需要実績は147億3,676万6,000kWhで、減少率は0.9%となった。
8月4~8日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
8月4~8日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
8月第3週の電力スポットは、第2週から下押す動きが強まりそうだ。大手自動車工場などは、9日から旧盆休暇に入り、17日まで工場の稼働が停止する予定。産業用需要が大きく減少するため、価格もこれに連動して軟化するとみられる。市場関係者からは、「8月第3週の価格は、東京のベース価格が12円台や13円台程度で推移するとみており、第2週から大きく低下するだろう。関西は、東京から1円程度安い水準で推移するのではないか」(新電力の市場取引担当者)との見方が示された。
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