電力=8月25~29日:電力スポットは前週比で続伸、厳しい残暑が強材料に
8月25~29日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週から東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに続伸。週を通じて厳しい残暑が続き、価格を押し上げる材料となった。また、市場分断の増減も価格変動の大きな材料となり、とくに中部関西間では夜間時間帯中心にまとまった分断が生じため、東京高/関西安が顕著となり、東西値差が2円以上乖離する日も散見された。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、25日が2.19円、26日が1.15円、27日が2.29円、28日が1.78円、29日が2.66円の東高西低だった。
8月最終週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは前週末とほぼ同水準だった。8月28日時点で期近の25年9月着品がmmBtuあたり11ドル台半ばとなり、前週末時点(8月22日)から0.05ドル程度上回った。欧州の天然ガス相場の変動に連動し、北東アジア市場のLNG相場は週前半に上昇、週後半に軟化する動きとなった。また、ロシアとウクライナの停戦協議が進展せず、相場の強材料となったが、北東アジアの需要家による買い気の低下が弱材料となり、相場の方向感を欠いた。経済産業省が8月27日に公表した、8月24日時点の発電用LNGの在庫は218万トンとなり、前週から16万トン増えた。前年8月末時点の170万トン、過去5年平均の204万トンをいずれも上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、8月28日時点の25年9月積みがトンあたり109ドル台半ばとなり、前週末時点とほぼ水準だった。 原油相場は、8月29日午後時時点でWTIの25年10月物がバレルあたり64ドル台前半、ブレントの25年10月物が68ドル台前半の水準で推移している。前週末時点からWTIおよびブレントともに0.5ドル程度の上昇。ロシアとウクライナによる停戦交渉に進展が見られなかったことや、米国の原油在庫の減少などが強材料となった。
週を通じた実勢高値は、28日に北海道で付けた45.00円となった。一方、実勢安値は27日に四国で付けた3.00円だった。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で0.60円安の14.54円、東北が同0.89円高の13.96円、東京が同0.47円高の14.21円、中部が同0.40円高の13.88円、北陸、関西が同0.09円安の12.19円、中国が同0.40円安の10.98円、四国が同1.71円高の10.20円、九州が同0.32円安の10.95円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から3.3%減の12億3,372万2,590kWh、買い札が同1.0%増12億1,389万5,810kWhとなった。約定量の週間平均は、同0.8%減の8億9,316万9,180kWhだった。
8月25~29日の9エリアの電力需要は、144億8,719万7,000kWhとなり、前週8月18~22日の145億2,815万4,000kWhから0.3%減少した。曜日を合わせた前年の8月26~30日の需要実績は134億2,067万6,000kWhで、増加率は7.9%となった。
8月25~29日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
8月25~29日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。256件・2,384MWの約定があった。
9月第1週の電力スポットは、週前半に一段高となりそうだ。1日から定期点検に入る火力発電が散見されるなか、全国的に3日ごろまで猛暑日超えの地域が多い見込み。さらに、1日から東京中部間を結ぶ周波数変換設備(Frequency Converter)で作業が実施されるため、連系線の運用容量が低下し、東京エリアの価格を押し上げる材料となりそう。一部の市場場関係者からは、「気象予報や火力発電の動向を考慮すると、週前半の東京はベースで15円を超えてもおかくしくはない。ただ、暑さが徐々に緩む見通しのため、週後半に向けて価格も軟化傾向になるとみており、週後半には13円程度で推移するのでは。関西は東京から2円程度安い水準で推移するとみている」(新電力の市場取引担当者)との見方が示された。
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