LNG=3月16~20日:市場激震、ラスラファンへのミサイル攻撃で
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DES北東アジア相場は18日、5月前後半着が21.00ドルをわずかに下回る水準まで切り上がり、6月前半着も連動した。18日から19日にかけて、イランのサウスパースガス田がイスラエル軍に攻撃され、イラン軍は報復としてカタールのラスラファンプロジェクト(年産7,700万トン)にミサイル攻撃を加えた。これに伴い、中東産LNGの供給正常化は遠のくとの見方が強まっている。先行きの相場については「期近着の上昇幅が大きいためバックワーデーションを形成しやすい」(日本商社)との見方が根強い一方、夏場の需給が引き締まると想定されるため、「春から夏にかけてはコンタンゴを形成しやすくなっていく」(邦アナリスト)との声も聞かれ、統一感に欠ける商況だ。 5月前半着の成約可能な水準は5月限の北東アジア着のスポット市況に対して5~10セントのプレミアムと伝えられている。大西洋出しを中心とした生産者のスポット販売余力と、アジア消費国における需要破壊(demand destruction)が今後のプレミアム水準を左右すると市場関係者は指摘した。一部の生産者はすでに販売に動いており、オマーンLNGがDESベースで1カーゴを販売したほか、価格など詳細は不明ながら、露サハリンエナジーが4月23日着と4月29日着の2カーゴを中国プレーヤーに販売したとみられている。一方、欧米ブローカーは「絶対値の高騰が予想されるため、いい売り時という見方もできるかもしれないが、中東情勢の悪化を受けて、今後はエネルギー安全保障の観点から新規の売りを渋る生産者が出てくる可能性もある」とコメントした。 需要面でも買い気が徐々に強まっている様子。JERAは18~19日、5月後半富津基地(年間受入能力1,910万トン)着の買唱えを5月限の北東アジア着のスポット市況に対してフラットで提示した。日本は発電用のLNG在庫が230万トンにまで積み上がっているが、「夏場にカタール出しの代替需要が出る可能性は十分あるうえ、直接カタールの代替が必要でなくても、今年は予想から一転してガス需給が引き締まり気味に推移する可能性が高まった」(邦アナリスト)。原油相場も高騰していることから、ターム玉の輸入コストに関しても「上昇は避けられず、懸念点」(日本の電力会社)との声があがっている。日本の発電用燃料はLNGから石炭にシフトしていくとの見方も聞かれた。一方で足元の実需は平年並みで、「暖かいが、例年に比べて特筆して違うわけではない」(同)。このほか、丸紅、欧マーキュリア、英シェルが5月前後半着の購入に関心を示した。現時点ではスポット供給が必ずしも皆無というわけではなく、欧ビトールや英ハートリーら手持ち玉を抱えるトレーダー勢も見えている。ビトールは18日に期近の4月18~20日着を5月限の北東アジア着のスポット市況に対して20セントのディスカウントで中国石油天然気(ペトロチャイナ)に販売した。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 中東ではカタールのラスラファンプロジェクト(年産7,700万トン)の液化施設が攻撃され、大規模な火災が発生した。被害状況は判然としないが、「最悪の場合、施設の修繕に年単位の時間を要することも考えられる」(邦アナリスト)。また、ノースフィールドイースト(NFE)拡張プロジェクト(年産3,200万トン)も年内の稼働開始は難しいとみる向きが大勢だ。一方、国営オマーンLNGが17日に応札を締め切ったDESベースの入札を通して、オマーンプロジェクト(年産1,140万トン)出しの4月21日~5月10日着の1カーゴを北東アジア着スポット市況に対し10セント台のディスカウントで販売した。 イスラエルのリヴァイアサン海洋ガス田からのガス供給が停止しているため、エジプトは代替としてLNGのスポット調達を進めている。同国国営企業は17日に応札を締め切った入札を通して、4月前半着の計4カーゴを蘭天然ガス(TTF)市況に対しプレミアム圏で購入した。イランのサウスパースガス田もイスラエルに攻撃されたため、同ガス田出しのパイプラインガスを輸入するイラクやトルコでも、天然ガスの供給引き締まり懸念が台頭している。 中東産LNGへの依存度が高い南アジアは、スポット需要が強い。バングラデシュ国営ルパンタリタプラクリティックガス(RPGCL)が17日に応札を締め切ったDESベースの買い付け入札を通して、4月着2カーゴをサウジアラムコ子会社のアラムコトレーディングから購入した。落札価格は4月15~16日着が20.96ドル、4月21~22日着が20.92ドルだったようだ。RPGCLは世界銀行からの融資をスポット調達に充てていると伝えられた。一方、インド国営ガス会社(GAIL)は16日に3月17~31日着1カーゴを対象としたDESベースの買い付け入札を締め切ったものの、落札には至らなかったようだ。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 米国では、ヘンリーハブ(H.H.)天然ガス市況がこのところ3.00ドル前後を推移しており、イラン情勢の影響が軽微にとどまっている様子。一方蘭天然ガス(TTF)市況や北東アジア着スポット市況などが高騰しているため、H.H.市況連動の米国出しに割安感が台頭。今後米国出しのスポット取引が盛んになると予想する向きが多い。実際、需要増加を見込んで、米ベンチャーグローバルはプラークミンズプロジェクト(年産1,330万トン)の生産量を増やす許可を米エネルギー省(DOE)から得たようだ。年産170万トン分の増産が予定されている。 欧州では5月前半着の成約可能な水準が5月限のTTF市況に対して10~40セントのディスカウントで伝えられた。今後の相場展開について、「再ガス化コストを度外視してディスカウントが縮んでいく状況も予想される」(日本商社)との見方が出ているほか、「欧州は来冬までにガス貯蔵目標を達成するとコミットしており、その動向を見守るしかない」(邦アナリスト)との指摘も聞かれた。
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