シンガポールは将来に向けた船舶燃料(バンカーオイル)としてバイオ燃料に注目している。同国のバンカーオイル販売数量は石油燃料や液化天然ガス(LNG)を含めると合計で年間5.000万トンを超え、2021年時点で世界最大となっている。シンガポールのチー・ホン・タット運輸省上級国務大臣は4日、同国で開いた船舶燃料・国際会議(SIBCON)の開幕講演で「(船舶燃料の取り組みとして)液化天然ガス供給網のさらなる構築とバイオ燃料の取扱量拡大を目指す」と述べた。
2050年までのネットゼロ排出を目標に掲げる政府の代表として、温室効果ガスの排出抑制のために、今後の船舶燃料の現実的な選択として石油からLNGへの転換を積極的に推進しつつ、並行してバイオ燃料の実証を拡大する意向を明らかにした。さらに、メタノール、アンモニア、水素の舶用燃料としての実証を官民共同で行う姿勢を見せた。
シンガポールでは、LNGの船舶向け燃料供給は2021年にShip-to-Ship方式だけで24回成功している。またバイオ燃料の船舶向け供給も現時点までに40回実施され、数量は合計約7万トンになるという。
今回で22回目となるSIBCONは政府機関であるシンガポール海事港湾庁(MPA)が主催し、対面方式で開催した。会議を運営したイベント大手Informaによると約1,800人が参加したという。
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