どうなる今冬のエネルギー供給2026(中)-原油、アジア、国内
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冬の暖房需要動向が意識され始める時期だが、2026年冬のエネルギー動向について、リム情報開発の各レポート担当記者が、8月中旬時点での見通しをまとめた。
【原油】 今冬の原油供給は、ホルムズ海峡の開放を含む中東情勢次第という面が大きいものの、供給が増加する可能性が指摘されている。石油輸出国機構(OPEC)プラスの有志7カ国に加え、カナダやブラジルなどの非OPECプラス加盟国や、OPECプラスから離脱したアラブ首長国連邦(UAE)も増産姿勢を鮮明にしており、世界の供給能力は大幅に拡大している。さらに、ペルシャ湾内に供給拠点を持つイラクやクウェートなどは、ホルムズ海峡が6月に一時的に開放された時点で販売を再開している。7月に公表された米エネルギー情報局(EIA)の短期エネルギー見通しによれば、2026年後半から2027年にかけて、世界の原油供給が消費を日量500万バレル強上回る供給過多にシフトしていくという。 8月5日時点ではホルムズ海峡をめぐり、イランとオマーンの間の協議が注目されているが、その直前には、米国とイランが戦闘を再開し、イエメンの親イラン組織フーシがサウジアラビアの船舶に対する海上封鎖を宣言した。このため、サウジアラビアのヤンブー港出しの原油の供給も不安視されており、これが長期化すると中東産原油の供給にさらに支障が出る可能性が大きい。また、ウクライナ戦争の動向も懸念材料であり、地政学的なリスクから先行きの不透明感は極めて強い。
【アジア製品】 灯油供給について、日本の石油会社からは「平年どおり」との声が寄せられた。中東情勢は刻一刻と変化しており予断を許さない環境であることには変わりない。ただ、日本は中東産原油の代替として米国などから一定量の軽質原油を確保しており、中東情勢悪化の影響はそれほど深刻ではないとの声が多い。日本の元売り各社は国内および韓国において冬季向けタンク溜め込みを順調に実施中だ。
これに対し、商社勢の状況は深刻だ。高い輸入採算から輸入ができず、北日本向けをはじめ在庫積み上げの見通しが立たない。シンガポール先物市場における7月期のジェット/ケロシンのクラックマージンはバレルあたり70ドル超えと非常に高い。世界的な供給懸念を背景に、クラックマージンの高止まりはしばらく続きそうだ。 商社が主に輸入する韓国積みSR船型の輸入採算は着ベースでキロリットルあたり155,000円超え(7月時点)となっており、補助金を加味しても国内市況を大幅に上回った。在庫が積めず「このままでは冬季商戦に動けない」(商社)との声も上がった。また、韓国ではS-オイルや現代オイルバンクなどが中東積みの原油を多く輸入しており、中東混乱が続けば原油確保難に伴い、製油所の稼働率引き下げと日本の商社向けの販売減少も危惧されている。
発電用の低硫黄重油は、供給懸念が継続する見込み。中東の地政学リスクは当面、続く見通しで、アジア向けの供給引き締まり感は解消されづらい。ただ、石炭や液化天然ガス(LNG)市況が重油より割安に推移しているため、低硫黄重油の需要は限られそうだ。
【国内製品】 今冬は灯油市場の安定調達に対する意識が例年以上に強まりそうだ。3月の中東情勢緊迫化以降、海外市況の高止まりを受け、国内への灯油輸入量が激減している。国内の灯油供給は寒冷地を中心に輸入玉依存が強く、「このまま輸入しにくい環境が続けば今冬の需給は想像以上に引き締まる」(市場関係者)。財務省貿易統計によると、国内1~5月灯油輸入量は前年比48%減の75万5,929klにとどまった。
国内の灯油市況は、政府の燃料油補助金政策に左右される側面が大きく、年末に向けて補助金額の縮小観測も浮上している。ただ、7月下旬時点で具体的な決定はなく、補助金縮小を想定した灯油市況の上昇を前提とする溜め込みは早計との見方が根強い。
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