バイオバンカー市況=RFNBOの拡大でバイオ燃料の需要後退 30日
バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値はロッテルダム渡しで663.00~743.00ドル、シンガポール渡しで707.00~787.00ドルといずれも前週から続伸した。原油高に伴うバンカー油価格の上昇を受けた。ただし、バイオ燃料の需要後退から、ロッテルダムでは上げ幅が縮小した。リムの調べによると、30日時点の硫黄分0.5%以下のVLSFO価格はロッテルダムで554.00~557.00ドル、シンガポールで569.00~572.00ドル。
欧州議会はこのほど、欧州の海運セクターで再生可能燃料および低炭素燃料の使用をさらに増やし、温室効果ガスの更なる削減を目指す方針を決めた。特に2035年1月1日以降のGHG削減目標を引き上げ、いわゆる非バイオ由来の再生可能燃料(RFNBO)の使用を促すという。水素や合成燃料「e-fuels」の使用を推奨する見通しだ。市場関係者は、現在は精製が困難とされるグリーンメタノールやグリーンアンモニアの製造見通しが立てば、実用化に前進するとみている。「e-fuels」はおおむね既存のエンジンを利用できるものの、既存のバンカー油に比べてコストが4倍程度かかるとの指摘がある。
一方、パーム油や微生物から生成するバイオ燃料を含むバイオバンカーの需要が大幅に減少するとの予想が強まっている。昨秋以降、世界的にバイオ燃料が大々的に推進されてきたものの、バイオ燃料の製造過程でGHGが排出されていることなどが問題視されてきた。また、廃食油などの原料は中国から輸入しているため、輸入に依存する燃料油の使用を極力減らしたいとの欧州の意向があるとの見方も伝えられる。
アジアでは、使用済み食用油(UCO)を原料としたFAME(脂肪酸メチルエステル《UCOME》を含む)ベースのバイオバンカーのトライアルが進んでおり、相場は堅調に推移した。地域間におけるバイオ燃料への需要構図が変容し始めるなか、市場関係者はコストと調達可能性、なによりもGHG削減の効果を見定めトライアルベースで燃料油の調達を進めるようだ。
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