バイオ混合率最大30%のVLSFO価格の気配値は、ロッテルダム渡しで693.00~768.00ドル、シンガポール渡しで786.00~861.00ドルと、いずれも先週から上げ幅を拡大した。バイオディーゼルの国際取引価格の上昇に連動した。輸送コストが嵩み、バイオバンカー相場は高止まりしているという。
現在のバイオバンカーは、使用済み食用油(UCO)を原料とするFAME(脂肪酸メチルエステル《UCOME》を含む)が主流。マレーシアやインドネシアから大量のパーム油やオイルパーム廃棄物が中国へ輸出され、中国ではパーム油を食用に使用したのちに回収している。回収した廃食油は、欧州をはじめとした諸外国へFAMEを輸出。輸送が重なり、コストが上昇している。
リムバンカーオイルレポートによると、5日時点の硫黄分0.5%以下のVLSFO価格はロッテルダムで543.00~546.00ドル、シンガポールで587.00~590.00ドル。
国際海事機関(IMO)の、第80回海洋環境保護委員会(MEPC80)が7月3日~7日にロンドンのIMO本部で開催され、以下10点の事項に関して審議している。
1. 「GHG 削減戦略」の改定案の採択
2. GHG排出削減に向けた対策―燃料消費量実績報告制度(DCS)やCII の規制とLCAガイドラインの見直しに関連する提案の検討-
3. バラスト水管理条約(BWM) - 条約の見直し計画の承認とBWM条約の修正案の採択を含む
4. 船体付着生物の管理に関するガイドラインの見直しと改定の採用
5. 特別敏感海域の新規指定
6. 水中騒音低減のためのガイドライン改正の提出
7. プラスチックペレットの海上輸送停止草案の承認
8. Ship-to-Shipによる海洋汚染防止の決議案の提案
9. 紅海およびアデン湾の特別海域の指定日に関する議論
10. 汚染防止・対応小委員会(PPR)からの事項
バンカーオイルについては、1と2が関連し、GHG削減目標がさらに強化された場合、GHGの排出を抑制する船舶の開発、GHGの削減が見込まれる代替燃料油の導入が加速する。現存の2018年に採択された「GHG 削減戦略」では、2008年を基準に①2030年までに国際海運全体の燃費効率(輸送量当たりのGHG排出量)を40%以上削減、②2050年までにGHG総排出量を国際海運から50%以上削減、③今世紀なるべく早期にGHG排出量をゼロ目標に設定している。
代替燃料として、現時点では水素(燃料電池を含む)、アンモニア、メタノール、エタノール、LNG、合成メタン、バイオ燃料が挙げられている。いずれの燃料も、GHGの排出量を原料の製造から船舶での使用までを示すライフサイクルの観点から評価(Well-to-wake)するのであれば、それぞれの燃料について国際的にルールを定める必要があるとの指摘が聞かれた。特にバイオ燃料の場合、国によってバイオ燃料の由来が多様化しており、環境保全の観点からルールの統一が必要とされている。
「GHG 削減戦略」の改定案はイギリス時間7日に採択される。
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