バイオ混合率最大30%のVLSFO価格の気配値は、ロッテルダム渡しで675.00~745.00ドルと先週から反落した一方、バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値は、シンガポール渡しで713.00~783.00ドルと先週から続伸した。ただし、両港ともにVLSFO価格は高値圏で推移している。原油高に加え、石油製品の需給が引き締まっている。一方、バイオディーゼル価格の上値は重い。シカゴ穀物先物相場でトウモロコシや大豆等の主要穀物価格が下落した。降雨による取れ高の減少懸念が後退していることが要因という。リムバンカーオイルレポートによると、2日時点の硫黄分0.5%以下のVLSFO価格はロッテルダムで605.00~608.00ドル、シンガポールで632.00~635.00ドル。
欧州議会は7月25日、海運業界のさらなる脱炭素化を目的とする「FuelEU Maritime」構想に関する新たな法律を採択したと発表した。GHG削減目標達成のための包括的な気候変動政策パッケージ「Fit for 55」に基づいている。新法は、船舶運航業者と燃料生産業者に対し、持続可能で低炭素の船舶用燃料の大規模生産・使用を支援することで、欧州および世界レベルで気候変動目標を達成することを狙う。2030年と2050年を目標年とし、欧州での取り組みを軌道にのせ、欧州気候法に基づくGHG削減目標の実現を目指すと欧州議会は述べている。
新法のうち、バンカー油需給にかかわる項目は以下の通り:
- ・ 使用する燃料のGHG排出強度(エネルギー当たりのGHG排出量)をライフサイクル評価で規制。2025年に開始し、5年ごとに強度規制値を強化する。同年はGHG排出強度2%、2050年に80%を超えることを認めない。
- ・ 脱炭素化の可能性が高い、いわゆる非バイオ由来の再生可能燃料(RFNBO)の導入を支援するための特別な奨励制度を推進。GHG 排出削減基準に準拠していない化石燃料、バイオ燃料およびバイオガス、または食品および飼料作物から生産されたバイオ燃料およびバイオガスは、最も好ましくないものと同じ排出係数を持つとみなされ。規制の認証プロセスから排除する。
- ・ GHG強度規制を達成した場合、対象者(海運会社単位)は翌年の繰り越しが同一船舶で可能。同一期間内において、複数隻で溜めて(プール)利用することが同一報告期間内のみ可能。ただしGHG排出強度の上限を上回った場合、罰金が科される。
- ・ 規制の実施で発生した罰金は、欧州の海運セクターの脱炭素化に関するプロジェクトに使用する。
市場関係者によると、新法は国際海事機関(IMO)による世界共通のルールではなく、欧州独自の取り決め。欧州が海運会社に対し罰金を課すもので、業界の混乱と海運会社の負担増を招きかねないという。先の第80回海洋環境保護委員会(MEPC80)では、GHG削減対策や規制は今後、検討すると決めたため、実質的に欧州に寄港する船舶はFuelEU Maritimeに基づき、EU-ETSに遵守する必要があるようだ。原油由来の従来のバンカー需要が大幅に低下するなか、バイオ燃料の基材が限定されるなどし、GHG排出削減基準に準ずる燃料油の価格が高騰。中小規模の船会社が代替燃料(RFNBOなど)の調達をするのが困難との声が聞かれる。一方、アジアではバイオ燃料の使用を推進する認証プログラムが普及しつつある。ルールさえ守ればバイオ燃料の基材は問わないとする動きもある。GHG削減対策やその規制は地域間によって足並みが揃っていない。
<PR>レポートのお知らせ
|
バンカーオイルレポートでは、世界主要40港のバンカー油の価格動向や主要港の需給状況。 LNGやバイオバンカーと言った脱炭素燃料の情報を定期的に掲載しています。
詳細はアイコンをクリックしてください。
|

|
|