アドブルー小売動向=4月店頭価格は小幅高、日星・液炭の値上げ転嫁進まず
尿素水アドブルーの4月店頭小売価格は前月から小幅に上昇した。都内のフリートサービスステーション(FSS)の計量器付き給水機(ディスペンサー)での販売価格は6日時点でリットルあたり124~141円と、前月と比べ中値が1円切り上がった。
日星産業や日本液炭がメーカーの卸値上げを受け、3月以降、順次アドブルーの販売価格をリットルあたり10円前後~15円程度引き上げた。FSS業者の仕入れ価格も応分に切り上がったとみられるが、小売価格への転嫁は進んでいないようだ。
市場関係者によると、大手サプライヤーの三井物産プラスチックがアドブルーの卸価格を据え置いていることが、小売市場のコスト上昇を抑制する要因になっているという。
また、輸出規制を強化している中国からの原料尿素の輸入量が増え、アドブルーの生産が安定し始めたことも店頭価格の上値を重たくしている。財務省貿易統計によると、中国からの尿素輸入量は6,612トンと、前月から3,731トン(129.5%)増加。輸入平均単価もトンあたり86,000円台と、同12,000円ほど下がった。
アドブルー小売市場の供給も安定に向かい始めた。給水制限を継続するFSSが依然として多いものの、4月以降は在庫切れで一時的に販売を休止する店舗は減少した。割高に設定していた店頭価格を引き下げるFSSもみられるなど販売攻勢を強める動きも出た。
とはいえ、アドブルー供給を巡る状況は楽観を許さない状況が続いている。ウクライナ危機の影響で世界的に尿素の供給不安が再燃。中国が輸出規制を一層強化するとの見方が台頭し、供給懸念につながっている。「アドブルーの安定供給も厳しい状況が続いている」(アドブルーメーカー)との声も根強い。
※『CROSSVIEW軽油』第97号(22年4月6日発行)でアドブルー関連記事「22年度の交通局アドブルー入札出揃う、TNSが名古屋で納入意欲」を掲載しています。