アドブルー小売動向=3月店頭価格は小幅上げ、需給タイト感強まる
尿素水アドブルーの3月店頭小売価格は前月から小幅に上昇した。都内のフリートサービスステーション(FSS)の計量器付き給水機(ディスペンサー)での販売価格は8日時点でリットルあたり122~141円と、前月と比べ中値が0.5円程度切り上がった。
原料尿素価格の高騰を受け、日本液炭が3月よりアドブルーのローリー配送価格をリットルあたり10円前後引き上げた。卸価格の上昇が小売価格を押し上げた格好だ。値上げ交渉が決着しなかったフリート業者に対しては適用が4月以降になるもようだ。
また、日産化学は3月22日よりアドブルー配送価格をリットルあたり15円引き上げる。値上げは昨年11月以来、4カ月ぶり。原料となる液化天然ガス(LNG)の価格が高騰し、現行の卸価格では製造コストを吸収し切れなくなった。
販売子会社の日星産業が仕入れ値の上昇分をFSS向け販売価格への転嫁を始めたようだ。卸価格のさらなる上昇により、FSS店頭価格は4月以降、もう一段切り上がるとの見方も伝えられた。
一方、1月に入ってから落ち着きを取り戻し始めたかにみえた小売市場の需給は再びタイト感が強まっている。最大手FSSの都内の店舗では在庫切れのところが2月と比べて増えているようだ。大手サプライヤーからの配送ペースが減り、納入量も1月の半分まで落ち込んだという。
ウクライナ情勢の緊迫化でアドブルーの原料となる尿素の輸入が再び減少する可能性が高まっている。尿素の原料となる天然ガスや石炭価格の急騰で生産量が世界的に減少する懸念が出ている。また、主要生産国ロシアからの輸出が止まり、世界の需給が再び逼迫するとの見方もある。
リム情報開発が発行する週刊『クリーンエネルギー』最新号(3月8日発行)によると、欧州、中東、中国積み(FOB)の尿素価格は前週から大幅に上昇した。
※『CROSSVIEW軽油』第94号(22年3月7日発行)でアドブルー関連記事「日産化学がアドブルー再値上げ、LNG高騰で国産尿素も原料高」を掲載しています。