バイオバンカー市況=価格競争の高まりでロッテルダムとシンガポールで下落 25日
バイオ混合率最大25%のVLSFO価格の気配値はロッテルダム渡しで980.00~1,080.00ドル、同シンガポール渡しで1,030.00~1,130.00ドルといずれも先週から下落した。販売者間の価格競争の高まりを背景に、ロッテルダムとシンガポールいずれの地域で弱含んだ。市場関係者によると、欧米のオイルメジャーは2023年上半期にターム契約上でバイオバンカーの販売を開始するようだ。23年はまずロッテルダムとシンガポールを主要港として位置づけ、バイオ燃料製造環境の整備と船舶の寄港数に応じて米西海岸などに供給規模を拡大する予定だという。
ただし、バイオ燃料に対する導入への課題も多い。買い手は、購入価格、供給安定性、品質、そして荷主の理解といった課題を解決しなければ導入は難しいとの見方を示している。バイオ燃料をはじめとした将来燃料価格が足元のLSMGO以上に高価になると、運賃コストに転嫁しなければならず、荷主の理解を得にくいようだ。さらに、昨今の物価高騰を抑制すべく海上運賃の削減を世論で求められるなか、バイオ燃料そのものの供給安定性が担保しにくい燃料油の導入に二の足を踏む需要家が多いという。一方売り手は、需要想定が明確にならなければ新規燃料油の参入が困難だと指摘。持続可能な航空燃料(SAF)とは異なり、現状環境規制に見合った船舶用燃料油の需要が細分化されていることも、需要想定の複雑性に繋がるようだ。なお23年の将来燃料販売の占める割合は、バンカー総販売量の約19%となる見込み。このうち、LNGが5割、バイオ燃料が4割、その他トライアルとしてメタノール等の燃料が1割と予想されている。