バイオバンカー市況=続伸、GHG削減を目標とした買い気の強さで 26日
バイオ混合率最大25%のVLSFO価格の気配値はロッテルダム渡しで1,075.00~1,150.00ドル、シンガポール渡しで1,140.00~1,215.00ドルといずれも先週から続伸した。このところの原油高、依然として高止まりするバイオ燃料価格を背景に、ロッテルダムとシンガポールのバイオバンカー価格は上昇傾向にあるようだ。
既報のとおり、2023年1月1日から、燃費実績の格付け(CII)制度が導入された。23年以降、毎年CIIが実施され、格付け基準は年2%ずつ2019年の基準年から厳しくなるという。なお、2027年以降の削減率は、さらに強化される見通し。バイオ燃料は現状、本船を改造せずに使用することが可能。しかし、その供給に問題点があると指摘されている。特に品質を担保するための使用期限が課題という。燃料の調達頻度が高く、調達量も多い持続可能な航空燃料(SAF)やトラックやバス等の軽油の代替燃料としてバイオディーゼルを供給した方が、製造業者にとっては利点が多いもよう。船舶の場合、航海日数が長くなるため、1回の調達量が多い反面、使い切るまでに時間がかかり、品質の保証が難しいという。トン当たりの粗利にも見合わないとの指摘もある。港湾の規模により、アジアの主要コンテナ港でもLNGバンカリングができない地域は多く、船会社は今後、燃料の供給体制に応じた航路を選択することも必要だ。
2050年に向けてGHG排出ネットゼロを国際海運全体で進めているが、2020年から始まった硫黄分0.5%以下の燃料油導入とは異なり、バンカーの選択肢が多いため、売買双方がどの燃料油を選択するか足並みが揃っていない。このため2025年までは、LNG燃料、バイオバンカーが脱炭素燃料として、需要の大半を占めるとみられる。また、脱炭素燃料の在庫を確保するため、既存のバンカー油用タンクのスペースが小さくなる恐れがあり、燃料油価格の更なる高騰を懸念する声も寄せられた。