バイオバンカー市況=バイオVLSFOへの販促を受け弱含み 9日
バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値はロッテルダム渡しで715.00~800.00ドル、シンガポール渡しで740.00~825.00ドルといずれも先週から下落した。23年4~6月期の長期契約の開始を前に、アジアを中心にバイオバンカー需要が高まっているものの、供給業者からの売り込みが強まり、相場が弱含んだ格好だ。
一方、市場関係者によると、バイオバンカーの供給には艀繰りの調整が課題になっているという。シンガポール港ではバイオバンカー用の艀を2%程度確保しているもよう。これらの艀は、本船の到着に合わせて艀内にバイオバンカーを充填することが求められている。このため、本船の到着が遅れた場合、艀内に残留しているバイオバンカーは使用できない事態が想定されている。通常のVLSFOでは、本船の到着が遅れた場合、艀内のVLSFOを別の本船に給油することが可能だ。なお、シンガポールでバイオ混合率最大24%のVLSFO(B24)はISO8217:2017で品質管理を徹底。本船船員がタンク腐食等の確認をしているという。
欧州では、バイオバンカーを貯蔵する陸上タンクが遠方にある場合、艀を本船近くまで移動して供給する必要があるようだ。ロッテルダムやバルト海、地中海沿岸地域では、バイオバンカー専用艀のスケジュール調整に時間がかるケースもあるという。
シンガポール、欧州ともに艀繰りの課題もあり、バイオバンカー価格は大きく低下していない。原料となる廃食油価格が需給の緩みで下落しても、運搬コスト高の解消が難しいためという。使用済み食用油(UCO)を原料としたFAME(脂肪酸メチルエステル《UCOME》を含む)ベースのバイオバンカーは軽油成分を含んでいる。このため、燃焼性が既存のVLSFOより高く、買い手の関心が高まっているようだ。
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