バイオバンカー市況=需要後退でロッテルダムとシンガポールで下落 16日
バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値はロッテルダム渡しで640.00~730.00ドル、シンガポール渡しで660.00~750.00ドルといずれも先週から下落した。リムバンカーオイルレポートによると、15日時点の硫黄分0.5%以下のVLSFO価格はロッテルダムで531.00~541.00、シンガポールで560.00~563.00ドル。下値で比べた場合、バイオVLSFOとの値差は100ドル程度まで縮小している。一方、バイオバンカーの高値は足元のLSMGO価格と同水準。燃料転換を進める売り手が積極的な販促を仕掛け、バイオバンカー価格は各地域で大幅に下落しているようだ。 市場関係者によると、バンカー油向けのバイオ燃料を長期的に海運業界で確保するため、まずは需要を増やす必要があるという。既報のとおり、廃食油が由来となったバイオ燃料のうち約75%は現在、持続可能な航空燃料(SAF)向けとなっている。一方、バイオバンカーの買い手は、目先の海運市況の弱さを背景に、23年1~6月期の需要は伸び悩むとの見通しを強めている。特に欧米を中心とした金融不安に伴う経済活動の鈍化を懸念し、海上物流がさらに後退するなか、バイオバンカーを定期的に調達できる船会社は少ないとの見方が台頭。 また、バイオバンカーの使用によるGHGの削減効果に懐疑的な見方もあるようだ。バイオバンカーの燃費が悪いとの懸念を示す関係者もおり、既存のVLSFOよりも多量のバイオバンカーを調達する必要があるとの声もある。この結果、GHG削減に貢献できるのかと不安視する関係者もいる。市場関係者からは、「船舶用燃料のライフサイクルGHG排出量評価の最終的なガイドラインが、国際海事機関(IMO)で今年7月に開催される第80回海洋環境保護委員会(MEPC80)で採択される予定。その後に調達するかを検討したい」との声も聞かれた。
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