バイオ混合率最大30%のVLSFO価格の気配値は、ロッテルダム渡しで777.00~847.00ドル、バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値は、シンガポール渡しで804.00~874.00ドルといずれも先週から上昇した。リムバンカーオイルレポートによると、16日時点の硫黄分0.5%以下のVLSFO価格はロッテルダムで595.00~598.00ドル、シンガポールで636.00~639.00ドル。
欧州では、バイオ燃料の供給が減少し、使用済み食用油(UCO)を原料とするFAME(脂肪酸メチルエステル《UCOME》を含む)価格が高止まりしているようだ。既報のとおり、欧州域内では、バイオ燃料の原料について、より環境に配慮した基材の使用が一層求められており、基準を満たすバイオ燃料の供給が減少傾向にあるようだ。一方、インドネシア政府はこのほど、欧州連合(EU)によるインドネシアからのバイオディーゼル輸入に対する相殺関税の賦課に関して、世界貿易機関(WTO)に対しEUとの紛争協議を要請した。
シンガポールでは、大手再生可能エネルギー会社「ネステ」が運営するバイオ燃料の生産ラインが、不具合のため6月から停止していた。同ラインは拡張工事を実施している。現在生産ラインは復旧したものの、バイオ燃料の供給懸念が台頭し、アジア全域で相場が高止まりしている。拡張工事は年末まで続く見通し。
市場関係者によると、持続可能な航空燃料(SAF)や陸上向けバイオディーゼル、バイオバンカー需要が高まるにつれ、本来の使用目的であるGHG削減につながっているかを注視する需要家が増えているという。
香港では、バイオバンカーマーケットが急速に成長している。大手エネルギー会社チンバスコ・パンネーション・ペトロケミカル社(CPN)は11日、ISCC-EU認定のUCOMEベースのB24(VLSFO)700トンを川崎汽船運航のバルカー「Cape Amal」に供給した。今回の供給契約の締結には、ペニンシュラ社東京支社がかかわった。原料となるバイオ燃料(B100)は地元のASB Biodiesel社が香港で回収した廃食油を使用している。
また、香港のバンカーサプライヤー、ヘルムスマンサプライ社は、9月から香港でバイオバンカーの供給を開始する。販売する製品は廃食油由来といい、買い手の希望に応じバイオ含有量15~24%のVLSFOまたは軽油として販売する。現時点で最小調達数量は100トンとしている。
香港では現地の回収業者から廃食油を調達するほか、中国本土からも輸入する予定。バイオバンカーの販売価格はシンガポールより80~100ドル程度高くなる見通しという。市場関係者によると、香港はアジア有数のコンテナ船寄港地で、大型コンテナ船からの調達が増えれば、他港と比べて価格競争力が高まる可能性が高い。
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