バイオ混合率最大30%のVLSFO価格の気配値は、ロッテルダム渡しで770.00~840.00ドル、バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値は、シンガポール渡しで798.00~868.00ドルといずれも小幅に下落している。また、LNG相場の上昇により、LNGバンカーとバイオバンカー価格の値差は縮小した。
リムバンカーオイルレポートによると、23日時点のLNGバンカー価格は、ロッテルダムの9月前半渡しで、740.00~820.00ドル、シンガポールの10月渡しで775.00~855.00ドル程度で唱えられている。なお、硫黄分0.5%以下のVLSFO価格はロッテルダムで585.00~588.00ドル、シンガポールで622.00~625.00ドル。
バイオ燃料価格は、マレーシアやインドネシアのパーム油価格の下落に伴い小幅に下落している。また、このところのVLSFO価格の下落を受け、ロッテルダムやシンガポールのバイオバンカー価格は先週から弱含んだ。ただし、他の燃料と比較した場合、バイオ燃料価格は依然として高値圏にある。中国が2023年にインドネシアから輸入するパーム油の数量は、コロナ以前と同水準の約800万トンに上る見通し。これに伴い中国で廃食油が増えるとの見方が強まっている。廃食油の供給で相場が下落するとの指摘があるものの、市場では、使用済み食用油(UCO)を原料とするFAME(脂肪酸メチルエステル《UCOME》を含む)の需要が高まり、価格が高止まりしやすいという。
また、LNGバンカー価格が急騰したことで、バイオバンカー価格に割安感が生じ、特にアジアで需要が伸びる可能性が高いようだ。中国、シンガポール、香港や日本といった国や地域では、デッキタンクを設置できないハンディサイズ以下の船舶が、燃料油の観点から環境対策を実施するには、減速航海かバイオバンカーの使用が一般的とされる。この考え方がバイオバンカーの需要を下支えしているとの指摘が聞かれた。
米石油会社のフィリップス66と穀物貿易会社アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドは、新たなバイオ燃料の合弁事業の立ち上げについて協議中と報じられた。高コストの製油所を、持続可能な航空燃料(SAF)などの低炭素バイオ燃料を生産するための設備とし、原料となる作物の確保も目指している。「長年対立してきた石油業界とトウモロコシを材料とするエタノール業界の歩み寄りの一つ」ともいわれているようだ。
フィリップス66は、カリフォルニア州にあるロデオ製油所を、世界最大級の再生可能燃料の精製施設に改修し、2024年から稼働を開始する予定。同製油所では原油精製を行わず、代わりに廃油、油脂、グリース(半固体状潤滑剤)や植物油を用いて、再生可能エネルギーおよび再生可能ディーゼル、ガソリン、SAFといった再生可能燃料由来の輸送用燃料を年間約8億ガロン(日量50,000バレル)生産する予定だ。
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