リム情報開発が商社や船会社などの市場関係者を対象に実施したアンケートによると、2024年における世界の月間バンカー売り上げ数量は、23年比で3%程度減少の1,210万トン程度になると見込まれる。このうちアジアが全体の6割を占め、次いで欧州が2割、北米が1割、残りが南米と中東が占める。国際海事機関(IMO)が、2030年までに国際海運からのGHG排出量を2008年比で20~30%削減するとの目標を掲げるなか、24年もLNGやバイオ燃料といった代替燃料の調達、排出権取引システムの導入が加速するとみられている。しかし、中国の不動産不況に加え、ロシア・ウクライナの戦争、緊迫するパレスチナ・イスラエル情勢、米国景気後退の見通しなど、24年は景気回復には程遠いとの見方が大勢。船舶の荷動きも縮小する可能性が高い。高価な代替燃料の調達が難しい船型は、同年以降も減速航海を実施するとみており、バンカー需要は23年から後退すると予想する声が高まっている。 一方、24年1~3月期は紅海/スエズ運河での地政学的リスクの高まりを受け、一時的に需要がシンガポール、ARA、アフリカで強まるとの見通しもある。 リム情報開発が実施したアンケートによると、24年の代替燃料の比率は、LNGが6割、バイオバンカーが2割、メタノールとアンモニアが合算で1割強、そのほかを電力と水素で占める。新造LNG燃料船の運航拡大に加え、各国でLNGバンカー供給体制が整い、需要が大幅に高まる見通しだ。一方、バイオバンカーはバイオ燃料基材の不足や認証済みのバイオ燃料不足懸念から、増加幅は穏やかになるという。メタノールやアンモニアは、内航船向けやスポットでの大型コンテナ船向けにトライアルが実施されるが、実用的な供給体制が整っていないためボンドバンカーとして大幅な需要拡大は難しいようだ。 24年は既存の石油由来の燃料油に加え、代替燃料の両方が供給できる港に需要が集中する見通しであり、特にロッテルダム、アントワープ、ジブラルタル、フジャイラ、シンガポール、舟山、香港、カナダ、ヒューストンでの需要が伸びやすいとの声が聞かれた。

<PR>レポートのお知らせ
|
バンカーオイルレポートでは、世界主要40港のバンカー油の価格動向や主要港の需給状況。 LNGやバイオバンカーと言った脱炭素燃料の情報を定期的に掲載しています。
詳細はアイコンをクリックしてください。
|

|
|