アジア石油製品=5月10~14日:ガソリンが上伸、米パイプライン停止を強材料視
ガソリン 北東アジア積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は上昇。シンガポール市況の強さが影響した。また、サイバー攻撃によって停止していた米国最大の石油パイプラインの稼働が再開したものの、市場では依然として強材料視されている。6月韓国積みの92RONガソリンについて、いまのところ取引の情報は寄せられていない。ただ、成約が可能な水準はFOBベースでシンガポール市況(92RON)に対し1.30ドル近辺のディスカウントになりそうだとの指摘が韓国石油会社から聞かれる。
ナフサ 北東アジアの市場関係者によると、「日本着パラフィニックナフサ相場は、日本市況に対し10ドル程度のプレミアムで推移している」という。台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)および昭和電工は、6月後半着パラフィニックナフサ(パラフィン比率75%)を日本市況に対し10ドル前後のプレミアムおよび10ドル台前半のプレミアムでそれぞれ購入したもよう。このところの北東アジア着市況の軟調要因として、「日本では定修や不具合によって製油所稼働率が低くなっているものの、ガソリンや中間留分の市況改善によってアジアでは常圧蒸留装置の稼働が上がっていることが背景にある」と北東アジアの石油会社はみている。一方、三井化学や丸善石油化学は、7月初旬着品の買付け入札を近く実施する見通し。ただ、7月着品の売り物は品薄となっているもよう。
中間留分 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は下落。6月積みの商談では、船積み時期によって相場にばらつきが生じている。既報のとおり、韓国GSカルテックスは12日、入札を通して6月積みのMR船型2カーゴを販売している。ただ、対象は6月8~12日と25~29日積みで、価格は前者がFOBベースでシンガポール市況に対しフラット、後者は同市況対比30セントのプレミアムとの情報が新たに寄せられた。市場関係者からは、5月北東アジア積みの供給が多かったため、6月前半積みカーゴは割安な価格で取引されたとの指摘が聞かれる。韓国では、5月積みでMR船型20カーゴ以上輸出されるようだ。また、5月末北東アジア積みカーゴが多数売れ残っているとの情報もある。 北東アジア積みの0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は中国積みが軟化。中国では中国財政部、税関総局、国家税務局が分解軽油(LCO)に対し、6月12日より消費税を課す方針を発表した。これまで、中国での好調なLCO需要が軽油市況の下支え要因となってきた。しかし、この課税によって需要が減退するおそれがあり、性状の近い0.05%S軽油、さらには0.001%S軽油の軟化が意識され始めた。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場はもち合い。日本では、ENEOSの仙台製油所の稼働再開が5月後半ごろになる見込みで、同社はVLSFOの出荷を再開しているものの、VLSFOの基材となる0.5%S重油の他製油所への転送に遅延の懸念が生じている。ただ、今のところ日本向けへ輸入の動きは聞かれていない。一方、出光興産は定期的に月間2~3万トン程度の低硫黄重油を韓国向けへ輸出しており、大型連休前にも韓国向けへ市況連動価格で販売していたようだ。コスモ石油からは販売入札の動きは確認されていない。台湾では、フォルモサ石油化学(FPCC)は6月積み重油の販売を計画していないものの、今後入札を1件程度実施する可能性はあるという。また、台湾中油(CPC)は6月積み低硫黄重油4万トンの販売入札について、12日に応札価格の有効期限を迎えた。結果は今のところ明らかとなっていない。
|
|