アジア石油製品=5月24~28日:0.5%S重油が上伸、供給薄を反映
ガソリン 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は横ばい。ただし、東南アジアの需要が乏しく、相場は上値が重い。東南アジアでは新型コロナウイルスの感染が拡大しているため、ガソリンの需要が減少している。このところ、ベトナムやインドネシアなどの東南アジア諸国からスポットの買いが見られない。一方、インドネシア国営プルタミナがタームの買付け入札を相次いで実施している。同社は7~12月着として92RONガソリンの買付け入札を新たに開示した。数量は月間少なくとも50万バレル型1カーゴ。応札の締め切りは25日、価格の有効期限は30日。
ナフサ 中東積みナフサ(LR船型)の市況は上伸。このところの北東アジア着相場の小幅反発を受けた。カタール国営石油会社(QP)による7月起こしの四半期タームについて、フルレンジナフサが中東市況に対し26ドルのプレミアムで北東アジアの需要家との間で契約締結に至ったとの情報が寄せられている。また、来週にはクウェート国営石油会社(KPC)による8月起こしのターム契約交渉が開始される見込み。一方、中東積みナフサのスポット相場は「オープンスペックグレードであるパラフィン比率65%のナフサでみると、中東市況に対し18.00~20.00ドルのプレミアムで推移している」と中東市場の関係者は伝えている。 日本では、製油所の平均稼働率が60%弱まで下落している。ENEOSの常圧蒸留装置5基がトラブルや定修のため停止しているほか、出光興産、富士石油、昭和四日市の製油所も定修入りしていることが要因。ただ、「生産はかなり減少しているが、ナフサ市況に需給引き締まり感はそれほどみられない」と日本の需要家筋はいう。また、三菱ケミカル旭化成エチレンの水島工場のナフサクラッカー(年産56万7,000トン)が7月中旬まで定修中であることや、三井化学の千葉工場のナフサクラッカー(年産61万2,000トン)が6月中旬から8月初旬まで定修を計画していることによるナフサ需要の減少も、相場には上値が重い展開となっているようだ。
中間留分 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は上昇。先物市況の期先高を好感し、6月下旬積みに買いが強まった。ただし、新型コロナウイルスの感染が続いている中、アジア域内の実需は依然として弱い。また、アジアから米西海岸向けのアービトラージは開いたり閉じたり安定していない。このため、米国向けの調達も聞かれない。 北東アジア積みの0.25%軽油(MR船型)および0.5%S軽油(MR船型)の市況は前日から大きく切り下がった。中国のLCO需要減退を理由に、LCOに性状の近い硫黄分0.05%Sの軽油同様、0.25%Sおよび0.5%Sの軽油も軟調となっている。また、好調なクラックマージンを背景に中間留分の増産も意識されているとあって、今後も相場は軟化傾向との指摘が伝えられた。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は上伸。供給薄を受けた。韓国石油会社各社は、製油所で精製マージンが好調なガソリンや中間留分の得率を引き上げ、代わりに採算性の低下した重油の生産を減らす動きをみせている。「バンカー向けVLSFOのプレミアムがやや上昇していることに加え、その基材となる0.5%S重油の韓国製油所での生産も5月末から6月にかけて減少するだろう」と韓国石油会社は伝えている。
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