アジア石油製品=6月7~11日:北東アジア積みの0.001%S軽油は上伸、中国積み減少で
ガソリン 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は横ばい。7月積みの売りは聞かれず、スポットの取引は盛り上がりを欠いている。中国では第3度目の石油製品の輸出割当量が配布されていないため、いまのところ中国の石油会社が7月積みの販売に動いている気配はないようだ。北東アジアでは、台湾フォルモサ石油化工(FPCC)が7~12月積みとして93RONガソリンのターム販売契約を進めていた。成約に至ったかは不明ながら、価格はFOBベースでシンガポール市況(92RON)に対し50セント~1.00ドルのプレミアムになりそうだとの見方が聞かれる。需要面では、製油所のトラブルを背景に、日本の大手元売りによるガソリンの供給が不足しているため、7月積み以降として91RONガソリンMR船型の輸入に踏み切る可能性があるようだ。他の元売りも製油所のトラブルを背景に、7月積みとして91RONガソリンMR船型の買いに動いていた。
ナフサ 北東アジアの需要家筋によると、「日本着ナフサ相場は、直近の成約水準などからみると、小幅後退している」とみられている。要因として、米国品などのアービトラージが拡大していることに加え、アブダビ国営石油会社(ADNOC)などからの中東積み玉の供給に余剰感が生じていることがあるようだ。丸善石油化学が購入していた7月後半着オープンスペック・ナフサおよびパラフィニックナフサ(パラフィン比率80%)について、そのうち1カーゴの売り手はADNOCが所有するトレーディング会社であるADNOCグローバルトレーディング(AGT)だったことが分かっている。AGTによる千葉向け出しとしては、最初の取引となった。また、同社はCFRベースによるターム契約について、6月中は希望する北東アジア需要家とは交渉を進めるもよう。
中間留分 北東アジア積みの0.001%S軽油(MR船型)の相場は上伸。中国積みの売り物減少を背景に0.001%S軽油の相場は底堅く推移している。また、豪州や東南アジアの需要の戻りを強材料として意識する声もある。台湾中油(CPC)は7月上旬および7月下旬積みの計2カーゴを対象とする販売入札を実施し、いずれも落札されたようだ。関係者によると、いずれもFOBベースでシンガポール市況対比25セント程度のディスカウントで妥結した。一方、日本勢ではENEOSが7月積みの1カーゴを、FOBベースでシンガポール市況対比40セント程度のディスカウントで販売したようだ。同社は7月積みについて、国内需給調整を目的に追加販売を進める見通し。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場はもち合い。韓国では、中国向けライトサイクルオイル(LCO)への課税政策の影響や堅調な精製マージンを背景として、GSカルテックス、Sオイル、現代オイルバンクは製油所の稼働率を90%台で維持し、軽油やVLSFOの潤沢な供給を続けている。SKエナジーも、製油所の常圧蒸留装置(CDU)の稼働を引き上げ、稼働率は75%程度まで上昇している。これによって、0.5%S重油の生産も増加している。同社は追加で販売に乗り出しているVLSFOの8月起こしターム契約については買い手の確保に苦戦しているものの、すでに同第3期ターム販売については完了しているという。
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