アジア石油製品=8月16~20日:軽油は軟調、フレート高で引き合い減少
ガソリン 北東アジア積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は変わらない。日本向けに需要が見られる。日本商社が9月積み91RONガソリンMR船型の調達に動いているものの、売唱えの高さやフレートの高騰などを背景に、いまのところ成約に至っていない。9月韓国積みの場合、売唱えはFOBベースでシンガポール市況(92RON)に対し1.50ドルに近いプレミアムで寄せられているようだ。また、インドの石油会社がガソリンの輸入に踏み切る可能性が指摘されている。インド国内では新型コロナウイルスの感染拡大により実施していたロックダウンが緩和され、需要が急増しているようだ。一方、北東アジアでは中国の石油会社が依然として8月積みの販売を進めているとの声が聞かれる。昨年に新規稼働した浙江石化は、これまで8月積みの92RONガソリンLR船型3カーゴを販売していたと伝えられる。
ナフサ 北東アジア市況は弱含み。中国を含む北東アジアでは新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、石化製品の需要が後退している。このため基材となるナフサを積極的に買い付ける需要家は減りつつあるようだ。一方、ガソリン需要がピークを過ぎた米国でもナフサの引き締まり感が緩和しつつあり、余剰となったカーゴがアジア向けに持ち込まれるとの見方が強まっている。需給緩和が進み、域内ではナフサおよび液化石油ガス(LPG)の価格差が、一段のナフサ安、LPG高に振れている。ナフサ市況は当面は、足元の弱基調が続くとの見方が聞かれる。
中間留分 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は強含み。需給の引き締まりが相場を押し上げた。北東アジアの石油会社はジェット燃料の生産を抑えている。このため、9月北東アジア積みのスポット玉は多くなさそうだ。一方、アジアから米西海岸向けのアービトラージが開いたままで、トレーダーは引き続き同国向けの調達を進めている。 北東アジア積みの0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は軟調。フレートの上昇を背景に域外向けの販売が停滞している。北東アジア各国の需要も新型コロナの再拡大から乏しいとあって、スポット市場では余剰感が強い。このなかで韓国勢が売りを進めているが、成約水準はじわじわと切り下がっている。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は軟化。供給余剰感を受けた。韓国のSKエナジーは、バンカー向けVLSFOの販売に一段と重点を置いており、7月に比べて8月の販売量を増やしている。さらに、このところ同油種のアジア向けアービトラージも拡大傾向にある。これらの状況を反映して、VLSFOの基材となる0.5%S重油市況にも供給過剰感は広がっている。韓国石油会社は、「韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は、シンガポール市況(0.5%S)に対し25.00~35.00ドルのディスカウントへと下落している」とみている。
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