アジア石油製品=8月30日~9月3日:0.5%S重油が上昇、VLSFO市況につれ高
ガソリン 北東アジア積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は変わらず。東南アジアでは新型コロナウイルスの感染拡大により、需要が減少しているため、スポットの買いは依然として乏しい。ただ、アジアの最大輸入国であるインドネシアで感染者が減少し、規制を緩和しているため、今後の需要増が期待されている。一方、北東アジアの石油会社は輸出計画を決めていないようで、10月積みのスポット売りは依然として聞かれない。
ナフサ 北東アジアのスポット市場では、日本勢による10月着品の買い気が確認されている。三井化学は先週、10月前半大阪着ナフサの買付け入札を実施していた。さらに、同社は10月20~31日大阪着ナフサ(パラフィン比率65~75%)2万5,000トンの買付け入札についても、30日に締め切った。一方、同社の千葉工場のナフサクラッカーはトラブル後の再稼働から間もないため、10月後半着品まで千葉向けのカーゴを調達しないもよう。北東アジアの市場関係者は、「割安感から北東アジア着品に対する調達意欲が増しているものの、日本勢は在庫水準が高く、タンクの余力も乏しい。このため、三井化学以外の日本の石化メーカーからの買い気はみられない」と伝えている。 米国でハリケーン「アイダ」が米メキシコ湾岸を直撃し、同地域の石油生産施設の稼働が90%以上低下している。このためアジア向けアービトラージの数量が減少するとの観測が浮上している。ナフサを含めた石油製品やナフサを基材とするエチレンなどの品薄感が増すことで、アジアのナフサ市況にも押し上げ材料となりそうだ。
中間留分 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は軟化。需要減退が相場を下押した。夏場の需要期が終盤を迎え、米国向けの買い引き合いが後退しているようだ。また、フレートは下落傾向にあるものの、依然として高止まっている。そのなか、韓国石油1社が先週、9月末積みのMR船型をスポット販売したことが判明した。価格はFOBベースでシンガポール市況に対し10セント程度のプレミアムとなっている。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は上昇した。韓国では、バンカー市場でのVLSFO市況が回復しつつあることを受け、VLSFOの基材となる0.5%S重油の韓国積み相場も強含んだ。韓国石油各社は、0.5%S重油について、VLSFOとしてバンカー市場に供給するだけでなく、競争が少ないカーゴ輸出することで、販売価格の引き上げも検討しているもよう。また、各社が今月、製油所稼働率を引き上げるとの観測もある一方、SKエナジーの平均製油所稼働率が実際には70%を下回る水準で推移しているとの情報も寄せられている。さらに、同社や現代オイルバンクは9~10月にかけて重油生産に関わる装置の定修を検討していることから、製油所稼働が上昇しても重油の供給は増加しない可能性がある。
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