アジア石油製品=12月6~10日:ジェット燃料は上昇、米向けの買い気増加で
ガソリン 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は横ばい。ただ、市場の雰囲気が好転している。新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株の影響が予想より深刻ではないため、トレーダーの調達意欲が喚起されている。そのなか、ガソリンの精製マージンも好転。ドバイ原油に対するガソリンの精製マージンは10.00ドル超えへと推移している。また、東南アジアからも複数の買いが浮上している。ベトナムのペトロリメックスは、1月積みとして92RONおよび95RONガソリン各3万トン型2カーゴの買付け入札を実施している。
ナフサ 北東アジアの需要家によると、「日本着ナフサの市況連動相場は、オープンスペック・グレードやヘビーフルレンジグレードでは下落しているものの、ライトナフサでは依然割高な水準が続いており、グレード間格差は拡大傾向にある」という。ガソリンのクラックマージンは11月前半に比べて半減しているため、基材としてのナフサに余剰感が強まっている。石化製品市場では、アロマティクス市況も不調なため、その基材となるヘビーフルレンジナフサやオープンスペック・ナフサのプレミアムは下落傾向にある。一方、ナフサ全体のプレミアムは縮小したものの、トレーダーが取引数量を絞っていることもあり、パラフィン比率の高いナフサの相場は比較的高いままだ。そのなか、韓国のロッテケミカルが、1月前半着ナフサ(パラフィン比率70%)を日本市況に対し20ドル台のプレミアムで購入していたもよう。また、YNCCはパラフィン比率65%~75%の1月後半着や2月前半着ナフサを幅広く調達しているようだ。
中間留分 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の相場は上伸。需要増が相場を押し上げた。米国向けの需要が見込まれている。米国では国内線向けの航空需要が堅調なことから、ジェット燃料の在庫減が続いている。そのなか、アジアから米西海岸向けのアービトラージも開いている状況。また、日本からも輸入需要が続いている。出光興産が1月積みカーゴを物色しているものの、成約の情報は寄せられていない。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は横ばい。アジアの主要市場であるシンガポールでは、0.5%S重油の市況連動相場が堅調に推移している一方、韓国では同相場は軟調なままだ。背景には、VLSFOの韓国バンカー市況が依然として低調なことで、VLSFOの基材となる0.5%S重油の需給緩和感が解消しないことがある。このところ原油相場が乱高下するなか、石油製品の精製マージンは全体的にやや悪化。ただ、韓国でVLSFOの最大供給者であるSKエナジーは、当面の製油所稼働および低硫黄重油の生産計画を変更せず、12~1月にかけて生産が増加する。このため0.5%S重油カーゴの輸出も増やす見通しにある。さらなる供給増が相場の重石となりかねない状況だ。
|
|