アジア石油製品=7月25~29日:ガソリンは軟化、需要の低迷で
ガソリン 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は下落。需給の緩みが相場を下押した。経済不況やガソリン価格の高止まりから、インドネシアやベトナムなどの東南アジアでは内需が減少し、国際市場でのスポット買いが低迷している。また、米国では需要期にもかかわらず、在庫が増える傾向にあるため、同国向けの買いも乏しいようだ。供給面では、韓国石油1社が、8月下旬積みの92RONガソリンLR船型をFOBベースでシンガポール市況(92RON)に対し4.00ドルのディスカウントで販売していた。この成約に基づくと、8月下旬韓国積みのMR船型92RONガソリンの成約可能な水準は、FOBベースで同市況対比4.50ドル近辺のディスカウントになるという。一方、中国から8月積みの輸出が増えるとの見通しが強まっているものの、いまのところ販売は本格化していないという。ただ、92RONガソリンの成約が可能な水準は、FOBベースで同市況対比2.00ドル近辺のディスカウントになりそうだとの指摘がトレーダーから聞かれる。その他、インド政府は、これまで徴収していたガソリンの輸出関税を撤廃することを決めており、同国からも輸出が増えそうだ。
ナフサ 北東アジアの市場関係者によると、日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は、日本市況に対し3ドル程度のプレミアムで推移しているとみられている。景気後退懸念が高まるなか、ガソリンのクラックマージンが世界的に急縮小しており、中国では製油所の稼働率が70%程度まで落ち込んでいる。ナフサも供給は今後減少する見込みだが、「市況を支えるほどではない」と域内の需要家はいう。一方、ナフサクラッカーの稼働とそれに伴う需要も振るわず。韓国のロッテケミカルは、ヨウスとデサンの装置の稼働を90%程度で8月末まで継続するもよう。LG化学とYNCCは9月下旬から装置の定修入りを予定している。日本では、京葉エチレンは90%弱程度でクラッカーを稼働しているものの、稼働調整によって9月着スポット玉の調達は手控え、ターム玉で賄うという。日本勢の平均稼働率は85%程度とみられている。台湾中油(CPC)も稼働率を85~90%に引き下げる見通し。
中間留分 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は軟調。北東アジア圏の石油各社の販売は非常に多く、相場は売り気に下押された。韓国勢では石油1社が8月下旬積みをシンガポール市況対比2.80ドルのディスカウントで販売した。韓国の他石油会社の売りは一巡しているようだが、韓国積みを売り残すケースや、やむなくシンガポールに転送するトレーダーもいた。日本積みについても大手石油1社が8月下旬積みをシンガポール市況対比で2.70ドル程度のディスカウントで販売したとの指摘がある。詳細は明らかではないが、売り手が大幅なディスカウントに引き下げることを余儀なくされている。背景には中国勢が8月積みの販売量増強を進めていることがある。新型コロナウイルスの感染拡大を抑制しようと、中国国内では頻繁にロックダウンを実施しており、軽油の需要が伸び悩んでいる。在庫の積み上がりから海外市場での売りを増やしているもよう。中国海洋石油(CNOOC)が販売入札を通して8月23~28日積みのMR船型1カーゴの売りに出た。他石油会社による売り気も伝えられており、相場の下押し圧力となっている。
重油 韓国積み0.3%S重油(MR船型)の市況連動相場はもち合い。SKエナジーが三井物産に0.3%S重油用としてタンクを貸し出しており、そこから東北電力などに販売している。三菱商事も、6~7月にかけて電力会社向けに0.3%S品を販売していたとみられるものの、具体的な取引は明らかとなっていない。また、同社は、関西電力や北海道電力に重油留分を多く含む生焚き用の重質原油を30万バレルずつ販売していたと伝えられている。0.3%S品の需要が堅調に推移する一方、0.5%S品は低調。このため両油種の価格差は60ドル程度に拡大していると石油会社はみている。このところ韓国石油各社は、ガソリンの精製マージンの急縮小を受けて、製油所の残油流動接触分解装置(RFCC)の稼働を引き下げ、代わりにVLSFOの生産を増やしている。このためVLSFOの基材となる0.5%S重油の韓国積み市況は軟調だ。
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