アジア石油製品=10月31日~11月4日:韓国積み0.5%S重油が上伸、バンカー相場につれ高
ガソリン 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は横ばい。ベトナムから買いが浮上している。ベトナムのペトロリメックスは1日、11月下旬~12月上旬積みとして95RONガソリンの買付け入札を締め切った。対象数量はMR船型2カーゴと1万~2万トン型6カーゴ。ベトナム国内では、南部地域を中心にガソリンの供給不足によりガソリンスタンドの営業停止が増えているため、同国政府は10月中旬に国内の製油所に対し生産量を最大限に引き上げることを要求していた。そのなか、市場では同国のズンクアット製油所(日量14万5,000バレル)がトラブルで停止したとの噂が聞かれるものの、詳細は明らかではない。
ナフサ 11月に入り、主要な交渉のタイミングが12月半ば~後半着へと移行し始めている。三井化学は、12月13~20日着オープンスペック・ナフサの買付け入札を実施した。ただ、サルファー値などに条件があり、ペーパー相場並みの高値で成約されたとの観測も浮上している。一方、三菱ケミカルは、鹿島向け1~6月期ターム購入契約を締結していたと伝えられている。価格はCFRベースで日本市況に対し1~3ドルのプレミアム。また、京葉エチレンは、1~2月起こしターム契約交渉を展開しているという。同社は12月後半着のスポット需要はないとしている。以前に発生したトラブルの影響で定修明け後のナフサクラッカー立ち上げが遅延しており、在庫水準は依然高いもよう。これに対して、韓国勢によるターム玉の調達の動きは確認されず。韓国の石化メーカーは、石化市況の低迷から来年のエチレンのターム玉の販売を予定していないという。ナフサのターム調達意欲も減退している。ヘビーナフサ市況は、ピュアヘビーナフサが日本市況に対し100.00ドルのプレミアムで売買されたとの情報があるが、詳細は不明。
中間留分 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は大幅上昇。商談の中心が12月上旬積み品に移行。シンガポール先物市場では期先に書けて急なバックワーデーションが形成されており、トレーダーは限月間の値差によるリスクを回避しようと月上旬や中旬積み品に買い気を示していることが相場を押し上げた。韓国積み品を扱う市場関係者によると、12月上旬積み品の売買アイデアはシンガポール市況対比で2.50ドル程度のプレミアムとなっているという。韓国勢ではGSカルテックスが早々に12月積みの販売に動いており、12月17~19日積みの30万バレルがシンガポール市況対比で1.00ドル程度のプレミアムで成約されたようだ。他の韓国勢はまだ12月積み品の売買に取り掛かっていないという。台湾ではフォルモサ石油化工(FPCC)が2023年1~12月積みのターム販売の入札を締め切った。0.001%S軽油は75万バレル、月間1カーゴが対象となっている。12月積みのスポット玉も販売予定だが、現時点では売りに出ていないようだ。中国勢は11月積み品の売りを続けている。大連西太平洋石油化工(ウェペック)が0.005%S軽油の販売を進めており、対象は11月19~21日積みのMR船型1カーゴ。また11月10~12日積みとして同じく0.005%S軽油MR船型1カーゴをFOBベースでシンガポール市況対比80セント超えのプレミアムで販売した。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は上伸。バンカー市況が上向いていることに伴い、VLSFOの基材となる0.5%S重油の需要も伸長したことが影響した。韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は、同市況に対し40.00~45.00ドル程度のディスカウントに小幅上昇していると韓国石油会社はみている。一方、SKエナジーは、インチョン製油所の常圧蒸留装置1基の定修を10月末に終え、同製油所の稼働率を引き上げている最中だ。そのため、じきに低硫黄重油の供給も増加して韓国積み市況に重しとなる可能性がある。台湾では、台湾中油(CPC)の大林製油所は火災現場の整理を終えたばかり。残渣油脱硫装置(日量3万バレル)の停止期間は3~6カ月に及ぶとの情報も寄せられており、長期化による重油供給の減少は避けられない格好。
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