アジア石油製品=11月20~24日:ジェット燃料の堅調さ目立つ、軽油は軟調
ガソリン 買い浮上、相場は急騰 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は前週から上昇した。中国品の供給懸念が解消されず、域内では品薄感が続いている。中国では依然として新しい輸出割当量が通達されず、12月積みの輸出動向が不透明な状況。そのなか、一部の石油会社が12月積みの販売を進め始めている。今週、中国中化(シノケム)が12月前半に泉州煉化(日量30万バレル)出しの92RONガソリンMR船型を販売したことが判明した。買い手は石油メジャーで、価格はFOBベースで同市況対比3.00ドルのプレミアムと伝えられた。シンガポールの先物市況の期先安が縮まっていることもあり、12月後半積みの成約可能な価格も同水準になりそうだとの指摘が聞かれる。一方、東南アジアでは多数の需要家が来年のターム買い付け入札を進めている。
ナフサ 需要伸びず、上値重く 日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は、日本市況に対しカーゴ到着30日前評価で2.50~3.50ドルのプレミアム、40日前評価で1.50~2.50ドルのプレミアムで推移している。ナフサ需要が増加しておらず、相場の上値は重い。経済活動が鈍く、石化品の需要が改善していない点が背景。石化品の生産調整は2024年も北東アジア域内で継続されると指摘された。 韓国で24年のターム契約交渉が進められている。LGケムは22日までに、24年4月~25年3月までに年間ターム契約をCFRベースで日本市況に対し1.50~2.00ドルのプレミアムで結んだと伝えられた。日本の石化メーカー複数社は来年1月起こしの年間ターム契約を同フラット~小幅ディスカウントの水準で商談していると伝えられている。
中間留分 採算性でジェット燃料が軽油を上回る 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は底堅く推移した。商談時期が月後半に移行。シンガポール先物市場で期先安が形成されており、成約水準はわずかに下落した。しかし、スポット市場において引き続き需給は引き締まっており、下げ幅は限定的だ。 需要面では、アジアから米西海岸向けのアービトラージが開いており、同国向けの引き合いが伸びている。また、北東アジア域内で供給量が限られている点も相場の下げ幅を抑える要因となっているようだ。韓国石油会社は以前、灯油や軽油の精製に注力していた。中国の12月の輸出動向も判然としてない。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は下落した。スポット市場では売り気の強い状態が継続しており、相場の上値は重い。10月から11月初頭にかけて、シンガポール先物市場でジェット燃料と軽油の格差が1.5ドル以上の軽油高で推移していた。軽油の精製マージンがジェット燃料と比べて良好だったため、軽油の得率を高めていたとみられる。 また、欧州で軽油需要が落ち込み気味とあり、中東やインド品がシンガポール方面へ運ばれている点も弱材料視されている。
重油 元売り1社にHSFOの販売余力 日本積み3.5%S重油(MR船型、380cst)の市況連動相場は変わらず。ただし、需要不振から相場の基調は弱い。市場関係者によると、日本の元売り1社に、1月分として180cst重油の販売余力があるという。同元売りの製油所で二次装置に不具合が生じており、重油が余剰になっているとの情報が聞かれる。既報のとおり、この元売りは12月積みでも高硫黄重油を販売していたもようだ。
|
|