アジア石油製品=1月29日~2月2日:FOB取引に下方圧力、フレート高に歯止めかからず
ガソリン 2月下旬中国品が成約 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場はまちまちな値動きを示した。韓国積みはシンガポール市況(92RON)に対し同水準を維持した。一方、中国積みは下落。フレートが高止まりしているなか、中国から売りが増え、同国積みの相場を下押した。1月31日の市場では、中国石油2社が入札を通じて2月下旬積みをそれぞれ販売した。中国石油天然気(ペトロチャイナ)傘下の大連西太平洋石油化工(ウェペック)は、2月20~22日大連積みの92RONガソリンMR船型をFOBベースで同市況対比95セントのディスカウントで販売。また、中国中化(シノケム)は2月22~24日泉州積みとして92RONガソリン50万バレルを販売した。価格はFOBベースで同市況対比1.20ドルのディスカウントと伝えられた。このところ、LR船型の運賃が上昇したことにより、MR船型対比のメリットがなくなっており、2月下旬華南積み92RONガソリンMR船型の成約が可能な水準もFOBベースで同市況対比1.20ドルのディスカウントになりそうだとの指摘がトレーダーから聞かれる。2月韓国積みについては取引の情報も確認されず、相場には変動がないと指摘された。
ナフサ 3月後半着市況は方向性を模索 日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は、日本市況に対しカーゴ到着30日前評価で23.00~24.00ドルのプレミアム、カーゴ到着45日前評価で15.00~16.00ドルのプレミアムで推移している。3月後半着カーゴの商談時期へと移行。弱材料が指摘されているものの、供給面で先行き不透明感が残り、相場は方向性を模索している。 石化原料としてナフサからLPGへの転換が進むとの見方が強まっている。LPGの需給緩和とフレート安を受け、ナフサと比べLPGが割安となっている。台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)が1日締めとして、3月上旬着としてプロパン22,000~24,000トンの買い付け入札を実施した。日韓勢もすでに石化向けでLPGを手当て済み。サウジアラムコが31日、2月のプロパン、ブタンの契約価格(CP)を決定、1月と比べいずれも10ドル高となり、ナフサとの価格差は縮小したものの、「切り替えを十分に検討できるスプレッド」(市場関係者)を維持しており、ナフサが減退するとの見方が広がっている。 一方で、地政学的リスクが解消されず、アーブ品の到着が遅れている。中東周辺の情勢は先を読めず、両地域からの供給不安が意識されている。
中間留分 フレート高で域外向け需要は停滞 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は軟調。需給の緩みを反映した。地政学的リスクの高まりを受け、輸送の遅れが懸念されており、北東アジアから欧州へのアーブが閉じている。傭船が難しく、フレートも上昇している。一方で、ひところジェット燃料の精製マージンが改善していたため、アジアの石油会社はジェット燃料の得率を高めていた。 S-オイルは韓国の事業者として初めて、バイオ原料をベースとした石油精製を開始した。使用済み食用油やパーム油を用い、持続可能な航空燃料(SAF)などを製造する。関係者によると、同社はオンサン製油所で「Co-processing」工程により生産する。「Co-processing」はバイオ原料と原油を既存の常圧蒸留装置(トッパー)に混入して石油製品を精製する技術。本格的な原料の投入開始は4月以降で、SAFの利用が盛んな欧州などへの輸出を進める見通し。 北東アジア積みの0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場も弱含んだ。フレートの高止まりを背景にFOBベースの市況はますます切り下がっている。このなかで中国勢が2月積み品の販売を進めており、相場は下落した。中国石油会社1社は2月23~24日積みとして華南積みのMR船型1カーゴをFOBベースでシンガポール市況対比3.00ドル台半ばのディスカウントで販売した。また、中国中化は2月22~24日積みとしてMR船型1カーゴの販売を進めている。一方、韓国勢による2月積みの売りはほぼ一巡している。ただ、フレートの上昇を背景にFOBベースの販売価格はさらに圧縮されているとの声も多い。
重油 供給引き締まり観測で基調強く 韓国積み0.5%S重油の市況連動相場は、シンガポール市況(0.5%S)に対し横ばい。ただし、先行き供給が引き締まるとの見方から相場の基調がやや強まっている。市場関係者によると、韓国を含む北東アジアでは今後、春先の製油所の定修が始まる予定。また、クウェートのアルズール製油所(日量61万5,000バレル)からアジア向けの輸出も当初の見込みより数量が限られているとの指摘がある。トッパー3基の稼働が十分ではないとの観測も聞かれる。 京浜のVLSFO相場は、1月31日に672.50ドルと1月24日時点から16.00ドル上昇した。シンガポール0.5%S重油先物高を受けた。
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