アジア石油製品=1月27~31日:軽油市況下落、豪州やNZ、東南アジアの引き合い一巡
ガソリン 92RON市況下落、在庫高止まりでトレーダーの買いが減退 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場はディスカウントが拡大した。供給過剰感の強まりが背景。欧州地域で在庫が記録的な水準まで上昇し、シンガポール市場でも在庫が高止まりしている。そのなか、トレーダー筋は新たなカーゴの調達を抑えている。 韓国1社が2月後半積みとして92RONガソリンMR船型を販売。価格はFOBベースで同市況対比2.70ドルのディスカウントと伝えられた。 需要面では、メキシコ国営石油会社(ぺメックス)が最近、アジアで2月積みのジェット燃料と92RONガソリンを調達していたようだが、数量が限られ相場に影響がなさそうだ。 ○割安感も台頭 ただ、短期間での市況軟化を受け、ガソリンに対して割安感が台頭しており、安値拾いの買いが入る気配もあると指摘された。 装置関連では28日までにマレーシアのペンゲラン石油精製・石油化学において残渣油流動接触分解装置(RFCC)1基が停止した。同製油所の原油処理能力は日量30万バレル。再開日時やこれに伴う需給への影響は明らかではない。
ナフサ 小幅高、製油所稼働低下で供給減の観測 3月前半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は小幅上昇。供給量の減少が意識されている。韓国など一部の国で製油所稼働が低下したという。また、中東からの2月日本着カーゴの供給が遅れる可能性がある。日本の石化1社は入札で、3月1~15日着2万5,000トンをCFRベースで同市況に対し、5.00ドル前後のプレミアムで調達した。30日前評価。 一方で、東南アジアからの引き合いは弱く、相場の上げ幅を削った。フィリピンのJGサミットは1月初めから、採算悪化を理由にエチレン設備(年産48万トン)の稼働を停止。当初、停止は3月までと目されていたが、無期限の停止となったようだとの情報が寄せられた。市場関係者によると、同社は石油化学事業の売却について検討しているという。このほか、ベトナムのロンソン石油化学やマレーシアのロッテケミカル・タイタンもエチレン設備の稼働を停止している。 日本の出光興産は25~26日にかけて、千葉事業所のエチレン設備(年産37万トン)の稼働を再開した。市場関係者によると、同装置は不具合を修繕するため、10日ごろまでに稼働を停止した。
中間留分 欧米、軽油市況落ち着き取り戻す 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は変わらず。週間を通じて動意薄だった。 韓国積み灯油(SR船型)の市況連動相場は横ばい。主な持ち込み先の日本で、寒さが和らぎ灯油の消費が減退している。一部の商社は2月に国内で販売する予定だった灯油の在庫を余らせていると伝えられた。北海道での需要が想定より弱いとの声もある。韓国の石油会社の販売余力が限られる一方で、日本勢の買い気も盛り上がりを欠きそうだ。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は軟化。韓国の石油1社は入札を通して、2月24~28日積みのMR船船型1カーゴを販売した。価格はFOBベースでシンガポール市況対比1.10~1.20ドのディスカウントだった。タンク業者などは2月品の売り物をまだ有しているもよう。豪州、ニュージーランドや東南アジアの2月品の引き合いが一巡しつつあり、買い気が弱い。 欧米市況の落ち着きも相場の弱材料。1月前半までは寒波による暖房用需要の増加や米国によるロシア積みの石油製品への経済生産か同域内の相場は一時盛り上がった。ただ、このところの寒さの緩みなどから需給の緩和が見うけられるという。今後は中東やインド品がアジア市場に流入しやすくなる可能性が浮上している。
重油 旧正月明けに2月積み品販売の可能性 韓国積み3.5%S重油(MR船型、380cst)の市況連動相場は同水準で推移した。中国や韓国で旧正月休暇が始まり、アジア域内では取引が限定的となっている。また、ロシア製品に対する米国による制裁の影響も、市場では徐々に薄れており、品薄感を警戒する声も後退しているもよう。韓国石油会社の関係者からは、「バンカー市場が落ち込んでおり、カーゴとして輸出する可能性も出てきている」との声が出ている。
マーケットニュース 韓国からの輸入コストから政府補助金を差し引いたガソリン価格、灯油価格は30日時点で、国内海上および国内陸上価格を大きく下回っている。アジア市場でガソリン価格やジェット燃料や灯油の原料となるケロシン価格の低迷。元売りや商社が輸入しやすい状況となっている。
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