アジア石油製品=4月21~25日: 軽油市況下落、日本の買い一巡で売りに押され
ガソリン オキシー品市況上昇、メキシコへの堅調な需要で 北東アジア積みのオキシー品市況は上昇した。メキシコへの引き合いが強い。中国石油天然気(ペトロチャイナ)は今週、5月下旬大連積みとして、92RONガソリンLR1船型を販売した。このカーゴはシンガポールに持ち込まれ、価格はCFRベースで同市況に対し2.80ドルのプレミアムだった。メキシコ国営石油(ぺメックス)が4月積みとしてMR船型を10カーゴ購入したことから、オキシー品の基調が強気に振れている。メキシコ勢は足元で、アメリカからの買いを控え、代替需要をアジアに向けている。 日本のENEOSは24日、水島製油所B工場の第2常圧蒸留装置(トッパー、日量9万5,200バレル)の稼働を計画外停止した。市場関係者によると、水島製油所では流動接触分解装置(FCC)の不具合も抱えているという。また、大分製油所では残渣油流動接触分解装置(同2万6,000バレル)が不具合の修繕作業のため稼働を停止した。 ただ、トレーダー1社によると、海外市場においてガソリンの調達に動いた形跡は今のところ見られない。輸出可能な在庫を国内供給に充てたり、商社から国内調達したりするだろう、との見方が寄せられた。
ナフサ 上昇、中国勢の継続的な調達で 6月前半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は強含んだ。中国の堅調な需要が強材料視されている。市場関係者によると、大連西太平洋石油化工(ウェペック)や中国国際石油化工連合(ユニペック)、万華化学(Wanhua Chemical)といった企業が積極的に調達を進めている。個別交渉による買いもあるという。輸入許可を持たない企業がナフサクラッカーの稼働を引き上げたとの情報も寄せられた。 ただし、期先にかけて中国のナフサの需要が下押しされることも考えられる。中国では米国産エタンが対抗関税の対象から除外されるとの観測が浮上している。25日時点で中国政府からの公式発表はないが、エタンを原料として使用している需要家と国の間で話し合いの場が持たれたという。中国の2024年のエタンの輸入量は約554万トンで、そのうち約99%に当たる551万トンほどを米国産が占めた。エタンに高関税が課されない場合、需要家は仕入れコストの上昇を免れ、エタンクラッカーの稼働を維持する可能性が台頭した。 韓国のGSカルテックスは22日、入札を通じて6月前半着ヘビーフルレンジB、Cグレードを調達した。数量はそれぞれ2万5,000トン。価格はCFRベースで同市況に対し、Bグレードが11.00~11.50ドルのプレミアム、Cグレードが9.00ドルのプレミアムだった。
中間留分 ENEOS、複数製油所でトラブルも買い気見せず 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は下落。需給の緩みから相場は切り下がった。中国勢による5月積み玉の販売が本格化。一方、需要面では豪州やニュージーランド向けの引き合いは既に満たされたており、買い気が限定的となっている。中国では中国石油天然気(ペトロチャイナ)の5月輸出計画がまとまった。ジェット燃料については約80万トンとなる見通しで、数量は4月とほぼ同程度となっている。他の石油会社も今後本格的にスポット販売に着手する方針だ。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場も下落。日本勢による買いが一巡しつつあり、売り圧力に押された。 韓国政府は22日に、油類税控除措置を6月末まで延長すると決定した。ただし、5月以降は原油価格の下落を反映し、軽油やLPGの控除率は現行の23%から15%へ縮小する。ガソリンは15%から10%への縮小となる。5月以降の油類税縮小による内需の落ち込みを意識し、一部石油会社は韓国国外への輸出を図っているようだ。 また、日本のプレーヤーによる買い気が一巡したもよう。複数のトレーダーによると、ENEOSは製油所トラブルを複数抱えるが、現時点でショートカバーの意向を示していないという。また、出光興産は定修前の調達をあらかた終えたとみられ、売り気に押されやすい状況のようだ。この他、0.001%S軽油カーゴの主要な向け先である豪州やニュージーランドの買い気も徐々に収まっているもよう。
重油 域外品の供給に注目 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は変わらず。域内の需給はバランスしているなか、市場関係者は域外品の動向に注目している。アジア域内では製油所の定修や精製マージンの縮小などから供給が限られている一方で、バンカー用などの需要も振るわない。 ただ、北東アジアでは、中国の山東独立系製油所で一部が二次装置の基材として低硫黄重油の買い気を見せているほか、韓国の一部石油会社はバンカー用として買いを検討している。 域外品としては、中国石油天然気(ペトロチャイナ)が4月上旬にブラジルから低硫黄重油(0.3~0.4%S)13万トンをアジア向けに船積みしており、シンガポールあるいは中国への持ち込みを検討している。最終的な持ち込み先はいまのところ不明。
|
|