アジア石油製品=4月28日~5月2日:ジェットは軟調、中国勢の売り強く
ガソリン 出光、徳山事業所のリフォーマー停止 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は横ばいとなったものの、市況は底堅い。メキシコ国営石油会社(ペメックス)がアジアの市場で4月積み品を10カーゴ以上調達した影響で、センチメントが強まったままとなっている。 日本のENEOSが製油所のトラブルを背景にMR船型を物色しているとの情報が寄せられた。また、国内の市場でほかの元売りから玉の供給を受ける可能性もあるという。 出光興産は24日、徳山事業所の接触改質装置(リフォーマー、日量2万2,000バレル)の稼働を停止した。LPG漏れが起きたため。28日午前の時点で、点検工事などを終えていないことから、稼働を止めたままとしている。再稼働時期は不明。
ナフサ 軟化、需要の先行きに不透明感 6月後半品日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は弱含んだ。中国の需要が弱まるとの見方が台頭している。また、経済減速により石油化学製品の需要が冷えるとの懸念も払しょくされず、ナフサ需要の先行きに不透明感が漂っている。 中国が米国産エタンの関税を免除するとの見方が台頭。中国の需要家がエタンの輸入を減らす代わりにナフサの買いを増強するとの観測が後退した。中国政府が米国から輸入される製品に対抗関税を課すと発表して以来、中国勢が5月着としてナフサの調達を積極的に進めたが、「6月着以降のカーゴの購買活動は落ち着くのではないか」との声が市場関係者から聞かれる。
中間留分 ジェットの相場は軟調、中国勢の売り気強く 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は下落。中国からの売りが続々と浮上。米国では製油所の定期修理や装置不調の落ち着きから、アジアから同国西海岸向けのアービトラージも縮小傾向。また、豪州やニュージーランドからの5月品の買い気も収まりつつあり、需給が緩んでいる。中国国際連合石化(ユニペック)が5月21~23日青島港積み、5月後半南京港積みとして各MR船型の販売に動いていた。トレーダーらに売り気を伝え、交渉を進めている。中国の5月の輸出量は香港向けを含めて210万トン程度に達する見通しだ。カーゴでの輸出に限定しても140万トン程度と想定される。中国国内の製油所稼働率が高く、安定しているとあって供給量が潤沢となっている。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は変わらず。ただ、供給が少なく地合いは底堅い。韓国の油類税控除措置が5月1日から縮小されたことに伴い、国内では仮需が発生。出荷量の増加により、国内供給を優先した石油会社が多かったようだ。このため、韓国からの5月積みスポットカーゴ数が限られているもよう。さらに中国からの輸出量も限られ、相場は底堅く推移するとみられている。複数の市場関係者によると中国からの5月積み軽油の輸出量は総計で40万トンほどになるようだ。日本では製油所トラブルが頻発しており、なかでもENEOSは5月後半積みMR船型カーゴに買い気を示しているようだ。ENEOSは日本国内でも商社などから軽油の調達を進めている節がある。
重油 VLSFOの精製マージンが好転 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は変わらず。売り物が乏しく、スポットの取引は低迷。夏場の電力需要期に向けて、低硫黄重油の精製マージンが好転しているが、現段階ではドバイ原油対比のマージンは9.00ドル弱で、石油会社が生産意欲を高めるほどではなさそうだ。いまのところ、北東アジアでは5月積みのスポット売りは確認されていない。 一方、韓国では一部の石油会社が6月着でも0.5%S重油カーゴの買いを検討しているものの、現段階では着手していない。製油所で脱硫装置などの定修を控えていることに加え、上述のとおり精製マージンが十分でないため、自社製油所での生産が減少し、輸入品でバンカー需要を賄っている。また、夏場のガソリン需要期に向かうなか、中国山東省の一部の独立系製油所が5月下旬~6月着として精製基材用の低硫黄ストレートランや残渣油などを物色していたが、成約に至っている気配はない。
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